【大家さん向け】賃貸借契約の更新にまつわる基礎知識!必要手続きや注意点も解説
賃貸借契約とは、賃貸物件に入居する際に貸主と借主との間で交わ […]
賃貸経営に携わると一度は耳にしたことのある「定期借家契約」。定めた期間の中で賃貸借契約を行う「定期借家契約」は、貸主にメリットがある制度ということはご存知でしょうか。
この契約の利点を活かして賃貸経営をしたい貸主に向けて、今回は定期借家契約についての解説やメリット・デメリットのほか、起こりうるトラブルや対処法についての情報を紹介します。
まずは、そもそも定期借家契約とは何かを説明していきます。
定期借家契約とは、2000年から導入された賃貸借契約に期間の定めがある借家契約のことです。契約書で定めた期間が満了になったら契約が終了となる制度です。
契約方法 | 書面による契約 |
契約期間 | 制限なし |
用途 | 住居用・事業用どちらも可能 |
更新の有無 | 期間満了後の更新はない |
基本的に1年以上の契約期間を定める必要がある普通借家契約。入居者が継続して居住を望む場合は、貸主からの解約や更新終了は正当な理由があるとき以外認められていません。なので、契約期間は借主の意向に大きく左右されます。
契約方法 | 書面か口頭による契約 |
契約期間 | 1年以上 |
用途 | 住居用・事業用どちらも可能 |
更新の有無 | 基本的に更新が可能 |
貸主にとって定期借家はこのようなメリットがあります。
1ヶ月や6ヶ月といった短期間の賃貸契約を結べる定期借家契約。一定の期間だけを借家にしたい場合や、売却までの間に貸し出したいと考えている貸主にとって定期借家契約は有効な制度です。マンスリーマンションやシェアハウスにも使われることがあります。
何らかの理由で退去をお願いする場合、普通借家契約だと立ち退き料の支払いが必要となります。定期借家契約では、契約期間が満了すれば、立ち退き料の支払いは不要です。
一定期間空き家になる住宅にも定期借家契約は役立ちます。例えば、1年8ヶ月だけ別の場所に住んだ後マイホームに戻ることを計画している場合、その間だけ定期借家契約を結んでおけば、空き家を有効的に使うことができます。
様々なメリットのある定期借家契約ですが、このようなデメリットもあります。
定期借家契約は期間満了後の更新がない契約となるため、普通借家契約の賃貸物件と比べて家賃を安くしないと貸せないのが実情です。
条件にもよりますが、定期借家の家賃相場は普通借家の50〜80%程度となります。
口頭契約ができる普通借家契約とは違い、定期借家契約では書面による契約が必須となります。煩わしく忘れやすいため、デメリットの一つとしてあげられます。
契約期間中は、正当な理由がない場合貸主からの中途契約はできません。例えば、一定期間だけ貸し出している賃貸物件が何らかの事情で貸し出せなくなった場合も、入居者の合意がなければ契約期間の満了まで待たなければいけないのです。
普通借家契約とは事情が異なる定期借家契約。契約を結ぶ時の注意点をまとめました。
定期借家契約を結ぶには、かならず書面での契約が求められます。万が一契約書がなく口頭でのやり取りとなった場合は、普通借家契約扱いになってしまいます。
普通借家契約になると、契約期間にかかわらず貸主からの解約は認められていません。どうしても退去が必要な場合は立ち退き料を支払う必要があるので、締結時の契約書は必ず発行しましょう。
定期借家契約の契約期間が1年を越す場合、期間が満了する1年から6ヶ月前の間に終了を通知する必要があります。再契約の場合にも、一旦契約を終了してから新たに契約を結ぶ必要があります。
法律での定めはありませんが、入居者のためにもいつ契約が終了するかを必ず明記しましょう。
終了通知とは「定期借家契約が終了する」という旨が記載された書面です。基本的に以下が記載されます。
・入居者の名前・住所
・貸主の名前・住所
・賃貸物件の名称
・契約期間
雛形はインターネットでもダウンロードできますので、早めに準備をしておきましょう。
万が一終了通知を忘れてしまった場合は、定期借家契約が終了していないことになるため、契約期間が延長となります。改めて通知をすればその6ヶ月後には契約を終了させることができます。
終了通知をしないと契約終了と同時に普通借家契約になってしまうことはないので、安心してください。しかし、連帯保証人の契約は定期借家契約の終了とともに打ち切りとなるので、再契約になった場合は連帯保証人との契約をし直す必要があります。
定期借家契約中に入居者から退去の申し出があった場合、以下の条件が揃えば解約を認める必要があります。
・一部分でも居住用として利用している
・床面積が200㎡未満である
・転勤・療養・親族の介護などといったやむを得ない事情がある
上記が揃っている場合は、中途解約の申し入れ1ヶ月後に退去してもらいます。契約時に中途解約についての特約を設けていた場合も、上記の場合は法律で無効になるので注意しましょう。
「短期間の契約ができる」「立ち退き料の負担が不要」「空き家を有効活用できる」がメリットの定期借家。一定期間だけ空いてしまう賃貸物件の有効活用にお困りの貸主には有効的に使える制度です。
デメリットを理解しつつ、お持ちの賃貸物件はどちらの契約に合うのかよく考え活用しましょう。