
アパート経営のキャッシュフローを正しく理解!計算方法や注意点をわかりやすく解説
アパート経営などの不動産投資には、キャッシュフローが重要とな […]
アパートを経営している方にとって、法人化すべきかどうかは悩みの一つではないでしょうか。アパート経営を法人化すると、個人ではできないことが可能になるため、アパート経営の幅が広がります。しかし、会社設立には費用がかかるので簡単に決断できないのも現実。
そこで今回は、アパート経営の法人化についてメリットやデメリット、目安になるタイミングなど徹底的に解説していきます。
目次
アパート経営の法人化とは、新たに会社を設立して、その法人にアパートを経営させる方法です。アパートの管理や所有を会社組織で行うことによって、個人で経営していた時よりも税金が安くなるなどのメリットがあります。
個人経営の場合は大家さんが出資をして、住人の家賃を収入として直接得ていましたが、法人化をすると大家さんは会社の社長となり、法人から給料をもらう形で収入を得ることになります。
そんなアパート経営の法人化ですが、家賃収入の額によって個人経営か法人経営かを決めるのが一般的です。個人の所得税率を考えると、家賃収入が1,000万円を超えたら法人化をするべきだと言われています。
個人所得には収入と税率が比例する累進課税制度という仕組みがあり、最大で45%が所得税として徴収されます。一方法人は、資本金が1億円以下の場合は一律でおよそ35%の税率です。個人で収入が900万円超1,800万円以下の場合は税率33%と法人所得税率と近くなるので、所得がこのラインを超えると法人経営の方が有利とされています。
もしも家賃収入の他にも収入がある場合、全ての収入の合計が1,000万円を超えれば法人化することをおすすめします。
アパート経営の法人化がわかったところで、実際のメリットとデメリットを説明していきましょう。
アパート経営を法人化するメリットは大きく分けて3つあります。
・税金の負担が少ない
・使える経費が多くなる
・相続税対策ができる
詳しく見ていきましょう。
収入が1,000万円を超えると、個人よりも法人の方が低い所得税率になるため、法人化は節税の最大のメリットと言えます。
また、収入を社長(=大家さん)以外の役員にも分配し、給与所得税控除を最大限利用することによって、実質支払う所得税を大幅に下げることも可能です。
個人経営の場合、会社経費とプライベート経費を厳密に分ける必要があるため、経費として使える金額は一部となってしまいます。
一方で法人の場合だと、「利益を追求するために無駄な経費は使わない」という考え方が前提にあるため、経費で認められている範囲が個人よりも広いです。例えば生命保険は、個人では控除金額が年間12万円と決められていますが、法人だと制限がありません。
不動産や金融財産を相続するときにかかる相続税。会社を法人化して相続対象者に役員として報酬を支払うことで、生前贈与として相続する形になり相続税をカットすることができます。
アパート経営を法人化するには、主に3つのデメリットも存在します。
・初期費用がかかる
・維持費がかかる
・売却の際は高い税率になる
こちらも詳しく見ていきましょう。
法人化をするには、最低でも20万円前後の会社設立費用がかかります。
株式会社を設立する場合の初期費用例
定款認証手数料 | 50,000円 |
登録免許税 | 150,000円 |
定款謄本代 | 2,000円 |
定款印紙代 | 40,000円 |
登記事項証明書代 | 600円(1通) |
印鑑証明書代 | 450円(1通) |
また、手間もかかるので税理士や司法書士に依頼をするケースも多いです。その場合は依頼料も追加で必要となります。
個人経営と違い、法人経営の場合は赤字でも最低7万円の法人住民税を必ず支払わなければいけません。また、税理士や司法書士に支払う報酬も、経営状況に関係なく支払う必要があります。
節税効果が維持費を上回らなければ、経費倒れとなってしまうので気をつけましょう。
アパートを売却する場合、個人の場合はアパートの所有年数によって所得税率と住民税率が変わり、5年以下で合計39%、5年以上で合計20%となります。
しかし法人は一律で実効税率の約35%と決まっているので、所有5年以上のアパートを売却する際は個人経営よりも売却税率が高くなります。
副業として会社員をしながら法人経営を考えている人も、メリットやデメリットなど条件は同じです。しかし「副業規定」は注意しなければいけません。
個人のアパート経営だと基本的に不動産所得となるので副業にはならないですが、法人から給料を得ることで副業とみなされる可能性もあります。
勤めている会社によって規則が違うので、法人のアパート経営が副業となるかどうかを確認してから進める方が良いでしょう。
アパート経営を法人化するために、以下の手順で進めていくとスムーズです。
会社の種類を決める
定款をつくる
開業届けを出す
資金調達をする
法人名義でアパートを注文する
役員報酬を決める
それぞれ必要なものも多いので事前に準備をしていきましょう。
・会社印(実印・認印など)
・法人設立届出書
・青色申告承認申請書
・給与支払事務所等の開設届出書
・事業開始の届出
これらは開業届けを出す際に必ず必要なものです。不備があると法人化が遅れることになるので、念入りに準備をすることが大切です。
アパート経営を法人化すると、個人経営と比べて税金や経費の面でメリットがあるということがお分かりいただけましたでしょうか。しかし、初期費用や維持費に関するデメリットもあるので、節税効果と費用を計算して経費倒れしないよう気をつける必要があります。
収入が1,000万円を超えるラインが法人に切り替える目安のタイミングです。将来のビジョンをしっかり考えメリットの方が多ければ、法人化を検討してみてはどうでしょうか。