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賃貸借契約に特約をつけるときのポイントと注意点

賃貸経営の基礎
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#様々なリスクに備えたい
賃貸借契約に特約をつけるときのポイントと注意点

トラブル回避のために、賃貸借契約に特約をつけようと考える大家さんも多いでしょう。しかし、どのような特約が無効・有効になるのかの判断はしづらいものです。そこで今回は、賃貸借契約に特約をつけるときのポイントと注意点について解説していきますので、興味をお持ちの方はぜひチェックしてください。

賃貸借契約の特約とは

賃貸借契約の特約は、通常の賃貸借契約とは別に盛り込まれた特別な契約事項です。貸主と借主の間で交わされる特別な約束であり、トラブルを未然に防ぐメリットがあります。

賃貸借契約の特約は、基本的に大家さんの裁量によって決まります。他にはあまり見られない特約を設定することも可能ですが、内容によっては法的に認められない場合もあるため注意が必要です。

賃貸借契約の特約が有効になる要項は?

賃貸借契約の特約は、原状回復に関連する場合が多いです。そのため、原状回復に関する特約は貸主の一方的に有利な契約にならないよう、以下の要件を満たさなければなりません。

①特約の必要性があり、暴利的でない客観的・合理的な理由があること
②賃借人が特約によって原状回復義務を超えた義務を負うことを認識していること
③賃借人が特約による義務負担の意思表明をしていること

上記の3要件を満たしていない特約は無効になるおそれがあるので、本当に有効なのか冷静に考えて決める必要があるといえるでしょう。

強行法規に違反する規定は特約として認められない

基本的に大家さんが自由に決められますが、ある一定の規定に反した特約は認められません。このような法規を「強行法規」と呼び、借地借家法によって定められています

賃貸借契約で無効となる特約には、主に以下のようなものがあります。

①「賃貸人の要求があれば、いつでも無条件で解約できる旨の特約」は借地借家法第27条に違反するため無効
②「契約を更新しない旨の特約」は、借地借家法第26条及び28条に違反するため無効
③「契約終了時に立退料等は一切請求しない旨の特約」は借地借家法第28条に違反するため無効
④「契約期間を半年とする特約」は、借地借家法第29条に違反するため無効
※定期借家契約であれば半年未満の契約期間でも期間の定めのある契約として設定が可能です。
借地借家法では借主を保護するため、強行法規に違反する特約は契約書に記載をしても認められないのです。

どのような特約が有効?

賃貸借契約 特約2
具体的にはどのような特約が有効になるのでしょうか。以下の4つの特約について見てみましょう。

1.室内の喫煙についての特約
2.異性の宿泊についての特約
3.入居者の自由についての特約
4.原状回復費の特約

解釈の仕方に分かれるケースもあるので、自分の考えと照らし合わせながらチェックしてみてください。

室内の喫煙についての特約

室内の喫煙は、ヤニで壁が汚れたり室内にニオイが染み付いたりします。ニオイが十分に取れなければ次の入居者も決まりにくいため、「室内の喫煙は不可」という特約を設けたいと考える大家さんも少なくありません。

室内の喫煙についての特約は、一定の合理性があるため特約の有効性があるといわれています。近年は、健康志向やタバコの値上げをきっかけに非喫煙者が増えており、室内喫煙に関する特約を導入している物件も増えています。

しかし、室内の喫煙に関する特約を設けると、ベランダや換気扇の下で喫煙する入居者が出てくるかもしれません。特にベランダでの喫煙は、煙が近くの部屋に入り込んだり洗濯物にニオイがついたりして、入居者同士のトラブルに発展します。また、換気扇の下で喫煙しても、喫煙量が多いと部屋にニオイが染み付いたり、換気扇が汚れたりしてクリーニング費用が高くなってしまいます。

室内喫煙に関する特約を盛り込む場合には、上記の注意点を入居者にしっかりと伝えておきましょう。

異性の宿泊についての特約

異性の宿泊を制限する特約は、状況により判断が分かれます。たとえば女性専用の賃貸物件の場合、入居者は男性が出入りしない安心感で部屋を借りているため、異性の宿泊を制限する特約は合理性があるといえるでしょう。

しかし、通常の賃貸物件で異性の宿泊に関する特約を定めるとなると、友人の来訪も制限することになり現実的ではありません。

原状回復費の特約

原状回復費は、原則として経年劣化・通常損耗を貸主、故意や通常使用以上の損耗を借主が負担するよう定められています。しかし、経年劣化・通常損耗も借主負担にするという特約を盛り込んで、原状回復費を借主に負担してもらうことも可能です。

ただし、原状回復費の有効性は、先述した3つの要件を満たす必要があります。

①特約の必要性があり、暴利的でない客観的・合理的な理由があること
②賃借人が特約によって原状回復義務を超えた義務を負うことを認識していること
③賃借人が特約による義務負担の意思表明をしていること

さらに、以下の4つの基準から判断します。

①負担範囲の明確性
②負担する金額が予測可能か
③原状回復義務を超えた義務を借主が負うことへの認識
④正当な負担度合い

原状回復費の特約を設ける場合には、3つの要件を満たしているかつ、4つの基準が満たされているかを確認しましょう。

適切な特約で安心した賃貸経営を!

基本的に、特約は大家さんが自由に決められます。しかし、いくらトラブルを避ける目的だったとしても、合理性のない特約は無効になる場合があります。設けたい特約や既存の特約が適切かどうか見直し、入居者に優しい賃貸経営を目指しましょう。

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