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築40年超の旧耐震アパート、問題点と大家さんの責任範囲を解説!耐震診断が義務となる条件も紹介

建築・建て替え
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#様々なリスクに備えたい
築40年超の旧耐震アパート、問題点と大家さんの責任範囲を解説!耐震診断が義務となる条件も紹介

地震が起きる度、所有している物件が倒壊しないか心配している大家さんもいらっしゃるのではないでしょうか。対策を怠り、地震で倒壊した場合は大家さんが賠償責任を問われる場合もあります。

そこで今回は、旧耐震アパートの問題点や大家さんが負う責任範囲、耐震診断が義務となる条件についてご紹介します。

旧耐震基準物件とは

「新耐震基準」と「旧耐震基準」で分けられる耐震基準。この2つはいつから、どのような基準で分けられるのでしょうか。新旧の違いを比較してみましょう。

まずは旧耐震基準から説明していきます。旧耐震基準とは、1981年5月31日までに建築確認が適用されており、震度5強程度の地震で倒壊しないことが基準です。

対して新耐震基準は、1981年6月1日以降に建築確認が適用され、震度6〜7程度の地震で倒壊しないことが基準とされています。

建築確認とは、工事の着手前に行政から建築基準法の規定に適合しているかを確認するものです。なお、耐震基準が新旧どちらかを確認する際の注意点として、竣工日ではなく、建築確認の交付日が基準となります。建築確認の交付日が1981年5月31日以前は「旧耐震基準」、1981年6月1日以降であれば「新耐震基準」です。

旧耐震物件の問題点

旧耐震物件の一番の問題点は耐震性の低さです。旧耐震基準は震度5強以上の地震が発生した場合、倒壊の危険性があります。大きな地震が起きている中、入居希望者の中には耐震性を気にする方も増えています。

また旧耐震基準の建物は一部の条件を除き、耐震診断が義務付けられています。それでは耐震診断が義務となる条件とはどのようなものでしょうか。

耐震診断が義務となる物件の条件

耐震診断が義務となる条件は、以下の2つが該当する場合です。
・1981年6月1日以前に建築確認されたもの
・3階以上かつ1,000㎡以上の物件

まず、1981年6月1日以前に建築確認されたものが条件となります。

また3階以上で1,000㎡以上の面積が対象となるため、2階建てや1,000㎡に満たない賃貸経住宅は耐震診断の義務はありません。

物件が被災した場合の大家さんの責任範囲

旧耐震 アパート 問題2

1997年阪神淡路大震災、2004年新潟中越地震、2011年東日本大震災、2016年には熊本地震と、日本では大きな地震が発生しています。また今後も大地震が予測されており、いつ地震が起きても不思議ではありません。

ではアパートが被災した場合、大家さんへはどのような責任が生じるのでしょうか。

被災内容によっては、以下の責任が生じる場合があります。

1.建物損壊による修繕義務
2.土地工作物責任による損害賠償

詳しく見ていきましょう。

建物の損壊には修繕義務が発生

アパートが被災し建物が損壊した場合、大家さんに修繕義務が発生します。

民法には「賃貸人(アパートオーナー)は賃貸物件(アパート)の使用・収益に必要な修繕をなす義務を負う」と定められています。これにより、大家さんは建物の一部が損壊した場合、修繕を行う必要があります。

しかし、損壊の程度によっては大家さんの修繕義務が発生しないことも。新築に等しい大規模な修繕が必要な場合は大家さんの経済的負担が大きいため、修繕義務を免れる場合があります。

大家さんに土地工作物責任があると損害賠償も

災害で建物の倒壊により、入居者がけがを負ったり、亡くなったりすることが考えられます。この倒壊が耐震性の不備などが原因とされた場合、大家さんが損害責任を負う可能性があります。

1997年の阪神淡路大震災ではマンションの倒壊により入居者が亡くなり、遺族が大家さんに対し損害賠償を求める裁判に発展しています。この裁判で神戸地裁は「土地工作物責任」があったことを認め、大家さんに1億円以上の損害賠償を支払うよう命じました。

「土地工作物責任」とは、土地の工作物の瑕疵により他人に損害を与えた場合、工作物の所有者・占有者が負う賠償責任のことです。

裁判でマンションに瑕疵があったと認められ、所有者である大家さんに損害賠償が求められました。

大家さんはアパートの安全性を確保する義務があります。自然災害で入居者が死傷しても、安全性を確保する義務を怠ったと認められた場合、損害責任を問われるのです。

耐震補強の進め方と概算費用

旧耐震基準のアパートはもちろん、新耐震基準のアパートも築年数によっては経年劣化をしています。入居者の安全性を確保するためにも耐震性診断を受け、耐震補強を検討しましょう。

ここでは、以下の項目に沿ってご紹介します。

・耐震診断の流れ
・耐震補強の種類
・費用

耐震診断の流れ

まずは耐震診断の流れを見ていきましょう。

1.耐震診断会社を探す
耐震診断を行っている会社や相談を受け付けている自治体があるので、まずは相談をしましょう。

2.予備調査
耐震診断の専門家が、設計図書や建築物の履歴を調べます。

3.現地調査
耐震診断はレベルに応じて、第1次診断から第3次診断までに分かれています。

耐震診断の結果をもとに、耐震補強工事の提案を受けます。

耐震補強の種類と費用

では耐震補強工事にはどのような種類があり、費用はいくらくらいかかるのでしょうか。

耐震補強は主に4つの種類があります。

1.外部からの補強
外壁を撤去して外部から補強します。費用は約13万円~15万円(幅910mm)が目安となります。

2.内部からの補強
外壁を撤去できない場合、室内から補強する工事です。費用は9万円~12万円(幅910mm)が目安となります。

3.基礎の補強
基礎部分のひび割れ補修などを行います。費用は1㎡あたり4万円~5.5万円が目安となります。

4.屋根の重量軽減
重い屋根ほど地震で大きく揺れるため、屋根を軽くすることで揺れの強さを軽減します。1㎡あたり1.5万円~2万円が目安となります。

耐震補強工事の費用は、100万円〜150万円で行われることが多いです。負担が大きいように思えますが、耐震診断や補強工事は国や自治体による助成制度や融資制度があります。自治体によって助成制度が異なるため、事前に確認をしておきましょう。

まとめ

建物の倒壊で死傷者が出た場合、大家さんは莫大な損害賠償を請求されます。

対象となる旧耐震基準のアパートを所有していたり、新耐震基準でも老朽化したりしている場合は、耐震診断を受け耐震性を把握しましょう。入居者や大家さん自身を守るためにも、しっかりと対策を行うことが大切です。

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