降雪量が少ない地域の場合、急な大雪や積雪があると戸惑ってしまうもの。賃貸物件の大家さんにとっては、雪かきなど誰がどこまで対処すればいいのかについて判断が難しくなるかもしれません。

今回は、そんな大家さんに向けて、積雪時の対処方法について解説します。雪かきをする際の注意点や業者への依頼についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

賃貸物件の雪かきは誰が行う？事前に知ってトラブルを防ごう

賃貸物件の雪かきは、原則として入居者が行います。ただし、すべて任せられるわけではなく、状況次第で大家さんも対応しなければなりません。

次項からは、入居者に雪かきを任せられるのか、どの範囲まで任せられるのかについて解説するので、トラブルを防ぐためにも参考にしてみてください。

賃貸物件の雪かきは基本的に入居者の役割

賃貸物件の場合、入居者は自分のできる範囲で物件の保護（清掃や災害への対策など）に努めなければなりません。（＝善管注意義務）

雪かきも例外ではなく、生活動線や駐車場など入居者が借りている範囲での積雪は、入居者自身に対応してもらうことができます。

＜善管注意義務とは？ ＞
・入居者は注意を払って借りたものを使用・管理しなければならない
・生活上必要な修繕や保存などの負担も含む

なお、大家さんには「使用収益させる義務」「修繕義務」が課せられていますが、雪かきについてはそれらのいずれにも該当しないとされています。

どちらが対応すべきか、よりハッキリさせたい場合は、賃貸借契約書へ雪かきに関して明記しておきましょう。雪の多い地域では、雪かきを入居者に任せるという旨を契約書に設定している賃貸物件もあります。 後から揉めることのないよう、契約書の見直しも検討してみてください。

戸建て賃貸の雪かきも入居者の役割

集合住宅・戸建てに関わらず、善管注意義務は入居者に課せられます。

このため、戸建て賃貸であっても同様に、入居者に雪かきをしてもらうことが可能。庭や駐車場の手入れなども含めて入居者に任せられるため、原則として大家さんが雪かきを行う必要はありません 。

入居者個人で除雪できない場合は大家さんや管理会社が対応

入居者に雪かきを任せられない場合、大家さんや管理会社も協力する必要があります。具体的には、以下のようなケースです。

＜大家さん・管理会社も対応すべきケース ＞
・建物や駐車場の屋根など、入居者だけでは対応しきれない積雪
・入居者だけでは除雪しきれない量の積雪

原則として、雪かきは入居者に行ってもらえますが、上記のように危険が伴うケースは大家さんや管理会社も対応しましょう。物件巡回を行って、危険がないかチェックすることも大切です。

業者への依頼も含め、積雪時の対応方法（雪かきの範囲や継続日数など）を検討しましょう。

なお大家さん自身が雪かきを行う場合、特に降雪量が少ない地域にお住まいの場合は、不慣れな作業で怪我をする恐れもあります。スノーシューズなど滑りにくい靴を履き、入念に準備を行ったうえで実施しましょう。

除雪業者に依頼した場合の費用相場

業者へ依頼すると、費用の目安は1時間あたり約10,000～15,000円 程度で、作業内容や除雪の量によって料金は変動します。

料金が変動するポイントは、次のとおりです。

＜料金が変動するポイント ＞
・屋根の雪下ろしや氷柱落としなど危険が伴う作業
・トラックを使った排雪
・作業員の人数（危険作業が伴う、除雪範囲が広いなどで増減する）

各ポイントの有無で料金は変動するため、事前に除雪範囲・場所を決めて依頼しましょう。複数社へ見積もりを依頼し、予算に見合った業者を選ぶことも大切です。

雪の正しい捨て場所は？道路、下水、川はNG

雪はどこにでも捨てられるわけではなく、以下のような場所でしか処分できません。

OKな場所

・敷地内の隅に寄せておく（通行の邪魔にならない場所）
・自治体が設ける処分場所

積雪量が多い地域の場合、雪を捨てる場所が自治体により設けられています。しかし、あまり雪の降らない地域（捨て場所が設けられていない地域）であれば、敷地内の隅に寄せて雪が溶けるのを待つしかありません。日の当たる場所に雪を寄せて、溶け出すのを待ちましょう。

一方、以下の場所では雪を捨てられません。

NGな場所

・道路
・川（国や自治体が指定する捨て場以外）
・下水道（マンホールや雨水桝など）

上記の場所は法律上、雪を捨ててはいけないルールです。違反した場合、罰金を科せられる恐れがあります。

業者に依頼すれば、トラックで雪を回収・廃棄してもらうことが可能です。個人で処理できない量の雪がある場合は、業者への依頼も検討しましょう。

積雪量が多い場合は大家さん・管理会社も雪かきに協力しよう！

雪かきは善管注意義務により、入居者に対応してもらっても問題ありません。しかし、積雪量が多く、入居者だけでは対応しきれない場合、大家さん・管理会社も雪かきに協力しましょう。

とくに、危険が伴う雪かきは積極的にフォローする必要があります。対応が難しいときは専門業者を呼んで、雪かき作業や雪の処分依頼を検討してみてください。