【賃貸オーナー向け】手軽さが話題のIT重説、メリット・デメリットを解説
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日本の認知症患者数は年々増加しており、2025年には約700万人(65歳以上の5人に1人)に増加すると想定されています。
※出典:内閣府第1章 「高齢化の状況」
賃貸物件の入居者が認知症である場合、オーナーは何らかの対策を講じなければなりません。そこで今回は、認知症の方を入居者として迎える場合や、入居者が認知症となった場合、そしてオーナーご自身が認知症になった場合にどのように対処すべきなのか、具体的に解説します。
賃貸借契約のポイントや法律上の注意点にも触れながら解説するので、経営上の懸念点をお持ちの方はぜひ参考にしてみてください。
目次
認知症とは、以下のような状態を指します。
<認知症とは?>
・何らかの病気により、脳の働きに不具合が生じた状態
・記憶力の低下や理解・判断力低下などの症状が現れる
・本人の性格や周囲の環境によって、上記以外の症状を引き起こすこともある
認知症と聞くと「徘徊」や「大声」といった行動上の問題もイメージしがちですが、すべての認知症の方に当てはまるわけではありません。 また、周囲の環境や人間関係などが症状の一因となっている場合、支援次第で症状が改善する場合などもあります。
認知症患者の入居には、以下のようなリスクが懸念されます。
<入居に伴うリスク>
・家賃滞納
・部屋の管理ができなくなり、近隣トラブルにつながる
・火災などの事故(用法遵守義務違反)
認知症になると、記憶障害や管理能力の欠如などの症状が現れます。そのため、「家賃の支払いを忘れる」「部屋の管理ができなくなる(部屋の掃除など)」といったトラブルが発生するケースもあります。
記憶障害による火の不始末も懸念されますが、すべての認知症患者で起こりうるわけではありません。症状や状態は人それぞれなので、入居希望者や親族へ現在の状態を確認しておきましょう。
認知症患者との賃貸借契約では、以下2つのパターンでポイントがわかれます。
<認知症患者との賃貸借契約 2つのパターン>
・契約前に認知症だとわかっている場合
・契約後に認知症だとわかった(認知症になった)場合
それぞれ、契約時のポイントを見ていきましょう。
賃貸借契約の締結や更新、解除などは法律行為であり、本人の意思表示が必要です。 しかし、認知症になると財産の管理や契約手続きなどが難しくなる可能性があるため、成年後見人を立ててもらうことも検討しましょう。 成年後見人は、法律行為や財産管理などの代理権(本人の代わりに行使できる権利)を持っているので、賃貸借契約の各種手続きを任せられます。
成年後見人の申し立ては、配偶者や親族に行ってもらうのが一般的です。配偶者・親族の協力が難しい場合は、市町村長や検察官なども申し立てできます。 各自治体には相談窓口が設けられており、認知症患者の後見人申し立てや援助について相談できます。入居希望者と話し合い、成年後見人が決まってから賃貸借契約の交渉を進めていきましょう。
成年後見人制度とは、認知症などを患い「1人で決めること」が難しい方をサポートする制度を指します。 認知症の方など判断能力が不十分であると判断された方が各種契約手続きや財産管理などを行った場合、不利益を被る可能性があります。こうした被害を防ぐために、成年後見人制度が確立されました。
前述したように、認知症の方の賃貸借契約には成年後見人を立てるケースもあります。 入居希望者の利益を守り、トラブルを防ぐためにも、成年後見人との間で手続きを進めてください。
入居後に認知症だとわかった場合、それを理由にして退去を求めることは難しいでしょう。入居者は法律で守られており、倫理的・人道的な面においても問題があるため、基本的にはそのまま住んでもらうことになります。
一方で、例えば、認知症の入居者が家賃を滞納した場合には、契約に基づき退去を求めること自体は可能です。しかし、契約解除の通知や明渡訴訟の提起を行っても、症状の進行具合によっては対応することができない場合もあります。このため、認知症の症状が進行しているにもかかわらず成年後見人が選任されていない場合は、成年後見人を立てる手続きを行ってから退去手続きを行う必要があるでしょう。。
認知症が疑われる入居者がいる場合、以下の対応を講じましょう。
<対応方法の例>
・管理会社に相談する
・家族や連帯保証人、成年後見人へ連絡を取る
・行政窓口へ相談して成年後見人の申し立てをしてもらう
まずは、物件を任せている管理会社と相談をしましょう。管理会社の場合、賃貸物件の見回り強化や周辺住民からの苦情対応、家賃督促などを任せられます。
可能であれば家族などの関係者へ連絡を取り、認知症の進行具合や現在の状況などを共有しましょう。今後の対応について話し合いつつ、信頼関係を構築します。このような手順で進めれば、契約内容の変更、将来的な退去などへも理解を示してもらいやすくなります。
連絡できる家族などがいない場合は、行政に相談することも可能です。前述のとおり各自治体には相談窓口が設けられており、認知症患者の後見人申し立てや援助について相談できます。 後見人となった方と連絡が取れるようにしておきましょう。
大家さんご本人と入居者だけでやり取りをすることは避け、入居者のご家族や管理会社、行政などと協力してサポートしてもらうようにすることをオススメします。
認知症は、誰しもが発症しうる病気のひとつです。事前に対処方法を決めておきましょう。
特に、入居者が認知症となった場合、近隣住民とのトラブルへ発展しかねません。親族や行政などへの相談も検討し、入居者本人に不利益が被らないよう配慮することも大切です。事前の対策でリスクを最小限に抑えましょう。