賃貸住宅で大規模修繕費用の共済制度がスタート!積立費用を経費計上可能に
2021年に、「大規模修繕費用の共済制度」が認可されたという […]
「人生100年時代」といわれる昨今、少子高齢化がすすむ日本では単身で生活する高齢者の数が多くなっています。高齢の単身者が増えることで直面する大きな問題が「孤独死」です。
なんらかの要因で入居者が孤独死した場合、賃貸物件の原状回復費用や家賃収入の減少など、大家さんにとって突然負担がかかってくるので、事前に備えておく必要があります。実際に問題に直面した際、大家さんが利用できるのが「孤独死保険」です。
今回は、孤独死保険の選び方や、その補償内容について解説していきます。
目次
賃貸物件の部屋や共用部分で起こる自殺や孤独死などの死亡事故に対して、大家さんが負担すべき損害を補償してくれる保険のことです。
突然発生してしまう死亡事故。最近では高齢者の孤独死だけでなく、自殺による死亡事故も増えているため、どの賃貸物件にも起こりうる問題ということを意識することが重要です。
孤独死保険には、「家主型」と「入居者型」の2種類があります。
主な違いは、家主型は大家さんが被る損害の補償しており、入居者型は遺族や保証人に損害が及んだ場合に補償するということです。
家主型と居住者型の詳しい違いは、以下の通りです。
家主型 | 入居者型 | |
保険の種類 | 単独の費用保険 | 家財保険の特約 |
契約者 | 家主(管理会社) | 入居者 |
被保険者 | 家主(管理会社) | 入居者 |
主な補償内容 | ・家賃補償
・原状回復費用 ・事故見舞金 ・遺品整理費用 |
・家財補償
・修理費用 ・賠償責任補償 ・責任保険金 |
まずは、家主型孤独死保険のメリットとデメリットについて見ていきましょう。
家主型は入居者型と違い、家賃補償があることが大きなメリットです。死亡事故が起きると、原則として原状回復中は入居者を入れられません。そのため、家賃収入を得られない期間が発生します。
また、事故物件扱いになるため次の入居者がなかなか決まらないケースもあります。そんな場合に、平均32万円あたりの家賃補償がもらえる家主型の孤独死保険は、大家さんにとって心強い制度です。
しかし、家主型は入居者型に比べると費用が増えることがデメリットです。1戸あたり数百円程度の入居者型に対し、単独保険である家主型孤独死保険は支出額が大きくなってしまいます。
入居者型孤独死保険のメリットとデメリットについても見ていきましょう。
入居者型とは、入居者が家財保険とセットで加入する保険なので、大家さんの負担が少ないことがメリットの一つです。さらに、孤独死以外の火災や水害といった災害も補償してくれます。
入居者型のデメリットは、補償内容に家賃が含まれていない点です。上記の通り、入居者が決まらなかったり、原状回復中は入居者を入れられなかったりするので、その間の家賃収入は諦めなければいけません。
次に、孤独死保険が補償してくれる主な内容と補償金額の相場を解説していきます。上記の種類によって違いはありますが、主な補償内容は以下の通りです。
・残置物処理費用
・原状回復費用
・家賃保証費用
それぞれの詳しい内容と、補償金額を見ていきましょう。
入居者の遺品を整理するための費用が補償されます。たとえば、大型の家具家電といった処分に関しても、孤独死保険に加入している場合は保証額の範囲内であれば大家さんが支払う必要はありません。
この場合に注意したいのが、不用品の回収業者ではなく遺品整理業者にお願いするということです。遺品整理業者に依頼すると遺族に遺品が渡る可能性が高くなるほか、供養までしてもらえることが多いので、依頼する業者選びには気を付けましょう。
残置物処理に対して支払われる保険料と損害額は以下の通りです。
支払われる保険金 | 損害額 | |
平均額 | 207,342円 | 214,120円 |
最大額 | 500,000円 | 1,781,595円 |
最小額 | 1,080円 | 1,080円 |
死亡事故では部屋に汚れが残ったり臭いが付いたりすることが多くあります。臭いの付いてしまった部屋の特殊清掃や内装工事の費用を補うのが原状回復費用です。
床や壁紙の張り替えなど高額になる工事が多く、大家さんには負担が大きいのが原状回復費用です。避けられないリスクをカバーするためにも、孤独死保険を活用しましょう。
しかし、入居者から入居開始時に敷金をもらっていた場合は、原状回復費用から敷金分を差し引く必要があるので注意が必要です。
原状回復に対して支払われる保険料と損害額は以下の通りです。
支払われる保険金 | 損害額 | |
平均額 | 288,016円 | 361,392円 |
最大額 | 3,000,000円 | 4,158,000円 |
最小額 | 5,400円 | 5,400円 |
孤独死した入居者が払うはずだった家賃に加え、原状回復中の家賃や、事故物件となった影響で次の入居者がなかなか決まらない場合の家賃が補償されます。
次の入居者が決まらない場合ですが、基本的に、空室状態が30日以上続いた場合が支払い対象です。また、次の入居者から家賃交渉をされた場合の損失も保険の対象となります。
家賃補償に対して支払われる保険料と損害額は以下の通りです。
支払われる保険金 | |
平均額 | 321,840円 |
孤独死保険を販売している会社は20社以上ありますが、会社選びの大きなポイントは以下の4つです。
・補償範囲
・補償期間
・補償金額
・加入条件
会社によって、補償してくれる内容は異なります。先ほど説明した補償内容に加え、孤独死以外の自然災害によるリフォームの費用負担や、家以外の場所で亡くなった場合の家賃補償が含まれる会社もあります。
死亡事故の発生から最長1年間補償してくれる会社もあれば、リフォーム完了日までの家賃のみ補償してくれる会社など、補償期間も会社によってさまざまです。家賃の値引き交渉が発生する場合も多くあるので、長期間補償してくれる会社を選びましょう。
また、補償金額の違いも会社選びには重要です。会社によって限度額が違い、入居者型の保険よりも家主型の保険の方が保険金が高くなります。ランニングコストとリスク対策費用を天秤にかけ、孤独死保険にかける金額を決めることが大切です。
会社によって加入条件もさまざまなので、所有している賃貸物件の数が一定数なければ加入できない会社もあります。さらに、小規模の賃貸物件では加入できない場合もあるので気を付けましょう。
少子高齢化がすすむ近年では、孤独死の件数が年々増えています。孤独死が起きてしまうと、大家さんは家賃収入の減少だけでなく、原状回復費用などさまざま費用が必要になり大きな負担を被ります。
そのようなリスクを減らすためにも、孤独死保険に加入して、事前に対策していきましょう。