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借家人賠償責任保険で賃貸経営のリスクに備える

保険
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#様々なリスクに備えたい
借家人賠償責任保険で賃貸経営のリスクに備える

賃貸物件に賃借人が入居するときは、火災保険に加入してもらうのが一般的です。この火災保険の役割はどういったものなのでしょうか。

賃貸物件で賃借人が加入する火災保険は、通常「家財保険」に「借家人賠償責任保険」が付帯しています。今回は「借家人賠償責任保険」について詳しく解説していきます。

借家人賠償責任補償とは

借家人賠償責任補償とは、貸借人が偶然の事故で借りている部屋に損害を与えてしまったとき、物件の所有者である大家さんに対する損害を補償することです。

補償の内容

借家人賠償責任保険で補償される内容はどのようなものなのでしょうか。

借家人賠償責任保険で補償されるのは、火災、破裂・爆発、漏水事故などを起こしたときです。例えば、「ストーブの消し忘れでボヤを起こしてしまい、壁紙やフローリングを焼損させてしまった」場合や、「洗濯機のホースが外れて部屋中が水浸しになり、床のフローリングを汚損させてしまった」場合などが該当します。

原状回復義務

原状回復義務とは、賃貸物件を借りている間に生じた損傷を賃借人が回復する義務のことです。経年変化や通常の使用により生じた損耗について回復義務はありませんが、賃借人の故意や過失による損傷は、退去時に回復して返還しなくてはなりません。

国土交通省のガイドラインによると、原状回復とは、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されています。

賃借人の故意や過失による損傷がある場合、原状回復のための工事費用は、通常敷金から充当されます。借家人賠償責任保険で補償されるのは、火災、破裂・爆発、漏水などを起こした場合です。

不法行為による損害賠償

不法行為とは、ある人が他人の権利ないし利益を違法に侵害する行為であり、法秩序に反する違法行為の一種で損害賠償責任を生じさせるものです。民法709条では「故意または過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定められています。

ただし、賠償責任が生じた場合でも、火災、破裂・爆発、漏水は借家人賠償責任保険の補償の対象となり、それ以外は対象となりません。

債務不履行

債務不履行とは、契約によって約束した義務を果たさないことです。賃貸契約では、賃借人は原状回復義務を負います。この原状回復義務の履行のために、例えば失火により部屋が消失し原状回復できない場合などは、大家さんは賃借人に損害賠償請求することができます。

しかし、失火の場合は失火責任法により「失火者に重大な過失がなければ民法709条は該当しない」とされています。そのため、隣家からのもらい火でも失火者に重大な過失がない場合は、賃借人は隣家に損害賠償を請求できません。

保険金が支払われない原因

借家人 賠償2

保険金の支払い対象となるのは、火災、破裂・爆発、漏水事故であり、それ以外は支払い対象となりません。また、火災、破裂・爆発、漏水事故であっても次のような場合は支払い対象となりません。

・契約者、被保険者またはこれらの方の法定代理人の故意
・被保険者の職務遂行に直接起因する損害賠償責任
・被保険者および被保険者と同居する親族に対する損害賠償責任
・被保険者の心神喪失に起因する損害賠償責任
・被保険者が建物を貸主に引き渡した後に発見された建物の損壊に起因する損害賠償責任

個人賠償責任補償との違い

借家人賠償責任保険に似ているもので、個人賠償責任保険があります。個人賠償責任保険は、日常生活の事故により他人に損害を与えた場合の賠償責任を補償する保険です。

「飼い犬が散歩中に通行人に嚙みついて怪我をさせてしまった」「公園でキャッチボールをしていて、近所の家の窓ガラスを割ってしまった」というような場合に補償されます。以前は、人から借りたものを壊してしまった場合は補償の対象外となっていましたが、最近は補償範囲が拡大され、借りたものでも補償の対象とする保険が増えてきました。

ただし、高額なものは対象外となるため、賃貸物件は個人賠償責任保険の対象となりません。賃借人が賃貸物件を損傷して大家さんに対して賠償責任が生じた場合に備えて、借家人賠償責任保険に加入してもらう必要があります。

いざというときのために補償の範囲について把握しておけば安心

賃貸契約の際、火災保険に加入してもらうケースは多いと思います。しかし、賃借人によっては、なんで火災保険に入らないといけないのと言ってくる人もいるかもしれません。
大家さん自身も、火災保険の役割をしっかりと理解しておくことは大切ですね。どういった場合に補償されるか、簡単にでも説明できるくらいになっておけば、賃借人に保険に加入してもらう場合もスムーズです。
補償内容は保険商品によって少しずつ異なるため、一度保険のパンフレットに目を通してくと良いでしょう。

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