
【大家さん向け】防犯カメラを賃貸物件につける際のポイント
防犯対策やいたずら防止のために、防犯カメラの設置を検討してい […]
賃貸物件の退去後にはクリーニングが行われることが一般的ですが、入居者が何らかの問題を残したまま部屋を明け渡す際、「特殊清掃」と呼ばれる特別なクリーニングが必要なケースがあります。
特に部屋の中がゴミ屋敷のように著しく汚れていたり、事件や孤独死などの影響で通常のクリーニングで落ちない汚れが残っていた場合は、特殊清掃が必要となるのです。
今回は、そんな特殊清掃の種類や料金相場、依頼方法などを解説していきます。
※この記事では特殊清掃についての説明に伴い、自死や事件・事故に関する言及があります。閲覧の際はご注意ください
目次
特殊清掃とは、通常のクリーニングでは汚れを落とすことが難しい部屋を掃除することです。特殊清掃が必要な部屋は専用の洗剤などを使う必要があり、素人では原状回復することが極めて難しいです。さらにニオイや細菌が残っている可能性もあるなどの理由から、プロに頼むことが一般的です。
特殊清掃が必要になるシーンには、大きく以下の3つが挙げられます。
・孤独死などでご遺体の発見が遅れてしまった
・事件や事故が発生した
・ごみ屋敷になってしまった
入居者が部屋の中で亡くなるなど事件や事故があった場合、血液や体液が室内に拡がっている可能性があります。孤独死などで発見が遅れた場合は、ニオイの発生も避けられません。また、対応してくれる近親者の方がいない場合は(手続きを経たうえで)遺品の処分も必要です。
ごみ屋敷となった部屋を特殊清掃する場合は、ごみの分別や、ごみが原因で発生した害虫駆除も行われます。
汚れの規模や程度によって異なるものの、特殊清掃が必要な場合には修繕リフォームが必要になるケースも珍しくありません。
特殊清掃では、汚れの処理だけでなくニオイへの対処やごみの処分、害虫駆除などさまざまな対応が必要です。これらすべてを大家さんが自力で行うのは難しいため、特殊清掃はプロに依頼するのがおすすめです。
特殊清掃をプロに依頼することで、衛生面の心配がなくなるほか、大家さんの心理的・身体的な負担も大きく軽減できます。また、清掃時間も大幅に短くなるため、次の入居者の募集もスムーズに行うことができます。
近年、自宅での孤独死件数が増加傾向にあり、特殊清掃の需要が高まっています。孤独死は高齢者だけのものと考える大家さんが多いかもしれませんが、孤独死の約20%は20〜40代の若年層です。「高齢者が住んでいない賃貸物件でも特殊清掃が必要になる可能性がある」ということを知っておくようにしましょう。
参考:国土交通省「死因別統計データ」
多くの大家さんが気になるのが、特殊清掃の料金相場ではないでしょうか。ここからは、サービス別・間取り別それぞれの料金について紹介していきます。
特殊清掃は、清掃する場所や内容ごとに依頼をすることができます。
床の特殊清掃 | 33,000円〜 |
浴室の特殊清掃 | 50,000円〜 |
コンクリートの特殊清掃 | 38,500円〜 |
汚染品の処分 | 7,700円〜 |
消臭・除菌・消毒剤散布 | 11,000円〜 |
オゾン脱臭 | 11,000円〜 |
畳の撤去 | 3,300円〜 |
コンクリートへの防臭剤散布 | 8,800円〜 |
フローリングへの防臭剤散布 | 11,000円〜 |
不用品回収 | 15,000円〜 |
汚れている部分の範囲が狭い場合や、汚れはないもののニオイが気になる場合は項目別のサービスを利用する方が費用を安く抑えることができます。ただし、汚れやニオイの程度によって金額が変動するため注意が必要です。
汚れやニオイが広範囲の場合、部屋全体を特殊清掃してもらう必要があります。間取り別の料金は、以下のとおりです。
1K | 70,000円〜 |
1DK | 70,000円〜 |
1LDK | 95,000円〜 |
2DK | 110,000円〜 |
2LDK | 130,000円〜 |
3DK | 150,000円〜 |
3LDK | 180,000円〜 |
サービス別料金と同じように、間取り別料金も汚れやニオイの程度によって金額は変動します。
所有している賃貸物件を特殊清掃する場合の手順は以下のとおりです。
1:見積もり
2:契約
3:清掃
特殊清掃の依頼先を決めるには、複数の清掃会社から見積もりを取るのがおすすめです。1社だけの見積もりで決めてしまうと、相場よりも高額の金額を請求される可能性があるからです。悪質な清掃会社の場合、実際の支払い時に見積もりよりも高い金額を請求してくることもあるので、契約時に確認しておくと良いでしょう。
また、特殊清掃が完了したら、大家さん自身が現場を確認して料金を支払います。気になるところがあれば、料金を支払う前に清掃会社に伝えることが大切です。
次に、プロの清掃会社に特殊清掃を依頼する際に意識すべきポイントを紹介します。どれも大事なものなので、ぜひ押さえておきましょう。
手続きの手間などが億劫で特殊清掃の依頼が遅くなると、費用が高額になる可能性があります。なぜなら、汚れやニオイは時間が経てば経つほど取りにくくなるからです。特殊清掃が必要なシチュエーションになった場合は、できるだけ早く特殊清掃を依頼しましょう。
せっかく特殊清掃を清掃会社に依頼したのに、きちんと清掃できていないと費用や時間が無駄になってしまいます。優良な清掃会社を見分けるには、資格や企業規模を前もって確認することが大切です。
「ホームページの情報や口コミでは不安だ」という人は、知り合いの大家さんなど周りに特殊清掃の清掃会社を利用した人がいないか探してみましょう。実際に清掃会社を利用した人に紹介してもらうことで、リアルな意見を参考にすることができます。
可能であれば、日頃から情報を集めておき、非常時に焦らないで済むようにしておくことがおすすめです。
どの清掃会社にしようか迷っている場合は相見積もりを取るようにしてください。金額面での比較ができるため、清掃会社選びがスムーズに進みます。また、相見積もりをしていることを清掃会社に伝えることで、不正に料金を上乗せされるのを防ぐことができるでしょう。
所有している賃貸物件で事故死・事件や自殺などが起こった場合、特殊清掃以外にもさまざまな対処をしなければいけません。実際にそのようなことが起こった場合は、以下の順序で慌てず迅速に行動しましょう。
1:(事象によっては)消防や警察など公的機関への連絡
2:親族や保証会社への連絡
3:解約や賠償などのやり取り
4:クリーニング
5:再度の募集開始
死亡しているかどうかの判断が難しい場合は、警察より先に救急車を手配しましょう。死亡が確認されたら、警察への通報などの対処をしてもらえます。
死亡していると判断できる場合、まずは警察に連絡します。警察の検死が終わるまでは部屋の中は事件現場扱いになるため、部屋の中のものを触ったりせず、指示を待ちましょう。
入居者に家族がいる場合は、相続人などの親族や保証会社に連絡します。入居者が亡くなった後も賃貸借契約は継続されるため、保証人や相続人の許可なしでは入居者の部屋に勝手に入ることはできません。
入居者に身寄りがいない場合、ご遺体の火葬や供養は行政が行いますが、この場合も遺品を勝手に処分することはできません。家庭裁判所に申立てを行うことで、相続財産管理人を大家さんに指定することが可能です。
入居者の残置物などの処理が済んだら、賃貸借契約の解約を行います。賃貸借契約は相続人に引き継がれているため、相続人とやり取りを行うのが一般的です。このとき、入居者の死亡が原因で新しい入居者が決まらない場合や家賃の減額が必要な場合には、相続人に対して損害賠償ができる可能性があります。
上記の対応が終われば室内の清掃に入ります。汚れやニオイがひどい場合は、プロの特殊清掃清掃会社に依頼しましょう。
次の入居者が住める状態になったら、新しい入居者の募集を開始します。自殺や殺人事件で入居者が亡くなった場合は、その旨を告知して募集をしなければなりません。告知せずに入居者を募集すると損害賠償が請求される可能性もあるため、必ず告知しましょう。
【居住用の賃貸物件で募集の際に告知義務を必要としない場合】
国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によると、告知しなくても良いケースは大きく下記の3つです。
①取引の対象不動産で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤 嚥など)
※事案発覚からの経過期間の定めなし
※特殊清掃が必要になった場合は②に準じる
②取引の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で①以外の死・特殊清掃等が行われた①の死が発生し、事案発生(特殊清掃等が行われた場合は 発覚)から概ね3年間が経過した後
③取引の対象不動産の隣接住戸・日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した①以外の死・特殊清掃等が行われた①の死
※事案発覚からの経過期間の定めなし
ただし、②③については「事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案」や「借主から事案の有無について問われたとき」や「把握しておくべき特段の事情があると判断される」などの場合には告知義務が発生する場合があるので、ケースによって判断しましょう。そのほか、開示してはならない情報(事案に関する個人情報など、ご本人やご家族に配慮すべき事項)などはガイドラインを確認しましょう。
仲介を依頼する不動産会社とも連携しながら、より適切な対応ができるように準備しておくことをおすすめします。
参考:国土交通省:「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
所有している賃貸物件で孤独死・事故死・事件や自殺・ごみ屋敷などのケースが発生した場合、特殊清掃が必要です。特殊清掃は、通常の掃除では取れないような汚れやニオイを処理するだけでなく、遺品の整理やごみの処分まで行います。
特殊清掃はプロの清掃会社に依頼するのが一般的で、料金はサービス別・間取り別に設定されていることが多いです。特殊清掃はどの大家さんにとっても依頼する可能性のあるものなので、万が一のときに対応できるよう、必要な知識を身につけて、準備をしておきましょう。