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賃貸物件の又貸し・無断転貸をチェックする方法。発覚時の対処法や防ぎ方

賃貸管理
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#トラブルを解決したい
賃貸物件の又貸し・無断転貸をチェックする方法。発覚時の対処法や防ぎ方

賃貸経営でなるべく避けたいのが入居者によるトラブルです。最近増加しているトラブルのひとつに、契約者が第三者に部屋を貸す「又貸し(無断転貸)」があります。

又貸しには多くのリスクがあり、ほかの入居者や近隣住民に被害がおよんだり、空室増加・物件価値低下の原因となる可能性があるため、特に注意しなければいけません。

今回は入居者による賃貸物件の又貸しについて、弁護士監修のもと、今すぐ実施できる又貸しの確認方法やされていた場合の対処法および注意点、又貸しを防ぐ方法や又貸しによって起こり得るトラブルを解説します。

大切なお部屋が「又貸しされていないか不安」「又貸しを防ぎたい」という大家さんは、ぜひ参考にしてください。

監修=芝大門法律事務所 高橋 真司弁護士

慶応義塾大学卒業後、99年に弁護士登録・芝大門法律事務所へ入所。不動産紛争、近隣問題、債権回収、相続など多くの大家さんが悩むテーマを中心に取り扱う「不動産問題のプロ」。著書に「賃貸住宅の法律Q&A」(大成出版社・共著)ほか。

URL:https://www.shibadaimon-law.com/staff/takahasi

又貸しについて、今すぐ専門家に相談したい方はこちら

賃貸物件の又貸しとは?民法でも禁止されている違法行為

「又貸し(またがし)」とは、賃貸物件を借りている契約者が大家さんの許可なく部屋を第三者に貸すことです。「無断転貸(むだんてんたい)」とも呼ばれています。

賃貸物件は基本的に契約者(契約上「入居者」と明示された者は含まれます、以下同じ)しか住んではいけないため、ほとんどの賃貸物件において又貸しは禁止されています。民法や国土交通省が定める「賃貸住宅標準契約書」にも下記の規定があります。

(賃借権の譲渡及び転貸の制限)

第六百十二条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。

出典:民法 第612条|e-GOV 法令検索

(禁止又は制限される行為)

第8条 乙は、甲の書面による承諾を得ることなく、本物件の全部又は一部につき、賃借権を譲渡し、又は転貸してはならない。

出典:賃貸住宅標準契約書(改訂版)|国土交通省

もし何らかの理由で第三者が暮らすことになる場合は、大家さんの了承が必要です。

長期的な又貸しはもちろん、出張や留学などで一時的に家を離れる際に、メンテナンスを兼ねて又貸しするのもNGです。

家族や親戚など近い関係の人であっても、契約者でない人が部屋に住む場合は又貸しに該当します。

無断での二人入居や民泊もNG!

又貸しは、契約者とは別の第三者に部屋を貸す行為のことですが、友人や恋人などを同居人として迎え入れるのも又貸しの一種です。

そのため、大家さんに断りなく共同生活を送ることは原則禁止されています。
同棲やルームシェアなどの二人暮らしを認めていない場合、契約解除の理由になり得ます。

(賃借権の譲渡及び転貸の制限)

2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

出典:民法 第612条|e-GOV 法令検索

また、契約している賃貸物件を宿泊施設として第三者に貸し出す「民泊」も又貸しです。

民泊の利用者は不特定多数の人になる可能性が高いため、セキュリティ問題や近隣トラブルなど、さまざまなリスクが発生するでしょう。

大家さんに許可を得ず、自治体に届け出を出していない違法な「ヤミ民泊」は、騒音やゴミの放置などで近隣住人とのトラブルの原因になる可能性もあります。

たとえば、身元確認が不十分でも利用できることから、反社会的勢力など入居審査に通過しづらい属性の方に滞在され、麻薬の密売などの犯罪行為に使われてしまう可能性もあります。

又貸しをしている入居者がいれば、すぐにやめてもらうよう対処することが重要です。

又貸しされていないか確認する方法

入居者から又貸しの噂やクレームを聞いたり、ご自身で又貸しの疑いを持った場合、まずは管理会社や弁護士などの専門家に相談しましょう。

又貸しが疑われるクレームの例

・見かけない人の出入りがある
・スーツケースを持った人がよく出入りしている
・単身用の部屋なのに、複数人の音がする
・夜間に部屋がうるさい

大家さんや管理会社の対応としては、注意文をマンションの掲示板に貼ったり、各部屋のポストに投函することから始めることが多いようです。

又貸し注意文の例

 

〇年〇月〇日

「建物名」ご入居者さま各位

「大家さんの氏名」

又貸し(無断転貸)に関するお願い

当建物のご入居者さまおよび近隣住民の方から、又貸しに関するクレームを承りました。

管理者の許可を得ず契約者が第三者に部屋を貸したり、無断でルームシェア・同居を行ったり、民泊などを実施することは違法です。

お心当たりのある方は、又貸しをお控えいただきますようお願い申し上げます。

すべてのご入居者さまが心地よくお過ごしいただけるよう、ご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

なにかお気づきの点がございましたら、下記までご連絡ください。

ご連絡先
「大家さんの氏名」
「大家さんの電話番号」

注意文の効果が現れない場合、入居者が又貸ししていないかチェックするには、下記のような方法があります。

● 部屋を訪ねて、入居者に直接話を聞く
● 現場で表札を確認
● 現場で人の出入りを確認
● 玄関付近や共用部分に民泊用のキーボックスがないか確認
● ほかの入居者に話を聞く
● 民泊サイトに部屋が登録されていないか確認(物件名や住所は登録されていないため、地域名や室内の写真等で確かめる)

人の出入りを確認したい場合「防犯目的」で、共用部分(エントランスや各階の廊下、エレベーターの内部や駐車場など)に、防犯カメラを設置するのもひとつの手です。

【参考記事】防犯カメラを賃貸物件につける際のポイント

契約者と連絡が取れない場合は、保証人や契約書に記載された関係者に連絡しましょう。

又貸し発覚!大家さんにできる対処法と注意点

又貸しが見つかった場合、大家さんは又貸しの事実を契約者に確認したうえで今後の契約について話し合いましょう。

事実を知りながら放置したり、家賃の支払いを請求したりすると、又貸し期間が長期化し「契約者の又貸しを承諾した」と認められ、又貸しが有効だと判断されてしまう可能性があります。

きちんと事実確認や話し合い(又貸しに反対する意思表示)をしておけば、万が一裁判になったときも有効な証拠として活用できます。

ただし、又貸しを確認するため、勝手に契約者の部屋に入ることは絶対にやめましょう。

契約書に「緊急時の室内立ち入り許可」を記載した場合でも、許可なく無断で部屋に入ると、大家さん自身が住居侵入罪(不法侵入)に問われる可能性があるからです。

話し合いによって契約者が又貸しをやめた場合、契約を続行するという判断もできます。

契約書で明確なルールを決めていなかった場合は、契約者と話し合って今後どうするのか決めましょう。

又貸しを理由に契約解除できる?

又貸しは契約違反のため、原則的には契約解除事由に該当します。
賃貸契約を解除して、不動産の明け渡しを求めることが考えられます。

しかし、裁判所の判断で又貸しの事実が「大家さんに対する背信行為」と認めるに足りない場合、契約解除は認められません。

賃貸借契約では、契約者がその部屋を借りて生活したり、経済活動を営んだり生活基盤となっているケースがほとんどです。

そのため、契約違反が「軽い」と判断される場合、部屋に住めなくなる=契約者の大きな不利益となることが明らかなので、簡単には追い出すことができません。

ただし、経済的な損失が大きい場合、明らかな証拠があるのに何度注意しても又貸しをやめないといった場合、契約解除が認められる場合もあります。

契約解除・建物明け渡し請求を行いたいと考えている大家さんは、管理会社や弁護士に相談しましょう。

又貸しについて、今すぐ専門家に相談したい方はこちら

又貸しを未然に防ぐ方法

又貸し2

(後述しますが)又貸しは大家さんにとって非常にやっかいなトラブルの原因となるので、回避するために契約書に又貸し禁止のルールを明記しましょう。

エイブルでは賃貸契約書の「禁止又は制限される行為」という部分に下記の内容を記載しています。

「乙(編集部注:借主)は、甲(編集部注:貸主)の書面による承諾を得ることなく、本物件の全部又は一部につき、賃借権を譲渡、又は転貸してはならない。」

また「借主が禁止される事項」という部分で下記の内容を記載しています。

「本物件を住宅宿泊事業(いわゆる「民泊」と呼ばれるもの)の住居として利用すること。」

さらに、違約金などのルールを設けておくことで、又貸しのリスクはさらに抑えられます。

また、不動産会社に重要事項などと一緒に口頭で又貸し禁止のルールを説明してもらうことも有効です。

又貸しで起こり得るトラブル

法律違反とみなされている又貸しは、以下のようなトラブルを引き起こす可能性が高いです。

1.家賃滞納
2.近隣トラブル
3.セキュリティの低下
4.設備等の破損

場合によっては他の入居者にも被害がおよび、退去や空室増加につながる可能性があります。

1.家賃滞納

又貸しで起こりがちなトラブルのひとつが、家賃滞納です。

又貸しで住んでいる第三者は契約者ではないため、「家賃を必ず支払わなければならない」といった意識が低いことが多く、家賃滞納が起こる可能性が高いです。

家賃滞納が発生した場合、大家さんは契約者に家賃の督促をすることができます 。

しかし、実際に住んでいる第三者は、契約者ではないため家賃督促が行えず、大家さんに大きな負担がかかってしまいます。

2.近隣トラブル

又貸しで住む第三者は、大家さんや不動産会社と直接顔を合わせたことがないため、どんな人物か把握できません。

また、自身が契約していないことから賃貸物件のルールを守らず他の入居者とトラブルを起こしてしまう可能性もあります。

近隣トラブルには、大きな音で周りに迷惑をかける騒音トラブルや、ベランダでタバコを吸うなどの悪臭トラブル、ゴミ出しのルールを守らないゴミ出しトラブルなどさまざまなものがあります。

他の入居者が退去してしまう可能性もあるため、早めの対処が重要です。

3.セキュリティの低下

又貸しによって、大切な部屋の鍵が契約者以外の第三者の手に渡ります。

鍵を無断で複製される可能性もあり、そうなれば何本鍵があり誰が所有しているのかがわかりません。不特定多数の人が出入りできるようになると、賃貸物件のセキュリティ面は著しく下がってしまいます。

賃貸物件のセキュリティが低下すると、他の入居者にも不安を与えてしまいます。

場合によっては複数の入居者の退去にも繋がり、空室が増える原因にもなりかねません。

4.設備等の破損

建物や共用部分の使い方にもよりますが、不注意によって設備を壊してしまうこともあるでしょう。

仮に又貸しで住んでいる第三者が設備を壊した場合、大家さんは契約者に損害賠償を請求せざるを得ません。

しかし、実際に破損したのは第三者なので、責任の所在について揉めるといったトラブルが起こりがちです。

又貸しトラブルの対応は、管理会社に任せるのが安心

又貸しトラブルが起こると、当事者・大家さんだけでなく他の入居者にも被害がおよんでしまいます。被害が大きくなると大家さんだけで対応するのは難しく、想像以上の手間や時間がかかります。

被害の拡大を避けたい、大家さんだけでは手が回らないという場合には、又貸しトラブル解消のノウハウを豊富に持っている管理会社に任せてみてはいかがでしょうか。

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