マンションの建て替えと売却、どちらを選ぶべきか徹底解説!流れと費用についても
マンションを経営すると気になってくるのは賃貸物件の経年劣化。 […]
アパート経営で避けられないのが建て替えです。古いアパートは入居率が低くなり空室も多くなりがちです。賃料は下がる一方で、修繕費などの支出は増えていってはいないでしょうか。アパートは建て替えることで、入居率が良くなり収益も安定します。
しかし、問題なのは立ち退き交渉です。そこで今回は、アパートの建て替えによる立ち退き交渉や対応の仕方、立ち退き料の相場やトラブルの対処法などをご説明してきます。
目次
建て替えの時期がおおよそ決まっているのであれば、新規の入居募集はストップして、自然と入居者が減るのを待つのが立ち退き対応を減らすコツです。
しかし、現実はそんなに上手くいくとは限りません。結局は、入居者への早めの申し出、誠意をもって接することが大事です。最初から一方的な通達をしてしまうと、入居者を怒らせてしまい、話がこじれてしまいかねません。日頃から入居者とコミュニケーションをとっている大家さんならまだしも、立ち退き対応の場が初対面という場合もありえます。早めに誠意をもって対応するのが重要です。
建物が古くなると、いくら家賃を値下げしてもなかなか空室が埋まらないものです。空室が5割を超えたあたりから、入居の募集をストップして準備に入る必要があります。そして、空室が8割になったタイミングで建て替えに動き出しましょう。
基本的に入居者は、借地借家法で守られています。正当な理由がない限り、大家さんの都合で入居者を立ち退きさせることはできません。賃貸借契約書には、半年前に賃貸人が解約の申出を行えば解約できる、との記載がされていることがほとんどです。しかし、これは借地借家法第28条より不利な特約にあたるので無効となります。したがって、立ち退き交渉が必要となるのです。
アパートの建て替えをお考えの時点で、できるだけ早めに入居者に申し出ることが必要です。それでは、具体的に立ち退きの進め方やポイントを見ていきましょう。
立ち退きの進め方とスケジュールは以下のような流れです。
①解約の申し入れ(6ヶ月前)
最低でも6ヶ月前に申し入れます。しかし、早いに越したことはありません。
②話し合い・和解(4ヶ月前)
解約の申し入れを断られた場合などは、話し合いが必要です。解約申入れの正当な理由や、立ち退き料などを明確にし、誠意をもって対応するのがポイントです。
③転居先の斡旋(3ヶ月前)
話し合いをして和解が決まったら、明け渡しまで放っておかず、転居先を斡旋するのも大家として必要な仕事です。
④明け渡し
いよいよ明け渡しです。今まで借りてくれた入居者に感謝して送り出しましょう。
次の引越し先への準備期間を考え、立ち退きまでの期間を明確にすることが必要です。基本的には6ヶ月前の申し入れというのが一般的ですが、準備期間は長い方が良いです。立ち退き期間は余裕をもって設定してください。
入居者の希望に合わせて、引越し先の情報を提供するのは、立ち退き交渉を行う大家の誠意でもあります。話し合いの時に、良い条件の引越し先を提示することで、交渉がスムーズになる可能性もあります。
家賃の6ヶ月分を支払うことをあらかじめ提示した上で「2ヶ月以内に退去いただけるのであれば家賃の10ヶ月を支払う」などと具体的に交渉すると、立ち退きに応じてもらいやすい傾向にあります。
立ち退き料は入居者との交渉によるものなので、明確な基準はありませんが、家賃をベースに提案するのが妥当です。
立ち退き料の内訳として以下のものがあります。
・引越し先の敷金・礼金・仲介手数料・前家賃など
・引越し費用
・インターネット回線などの移転費用
・迷惑料・慰謝料
建物の老朽化による建て替えとは言え、入居者は引越したくて引越す訳ではありません。引越しにかかる契約料は本来支払う必要のないお金です。初期費用はもちろん、迷惑料や慰謝料など、気持ちとしての金額を提示するのも交渉には必要となります。
立ち退き料の内訳を合計すると、おおよそ家賃の6ヶ月分となります。一般的に、建て替えるほど老朽化したアパートでは、30万〜50万が相場だと言われています。
不当な金額を請求された場合は、内訳を聞くのが先決です。その上で話し合いをするというのが正しい流れだと思います。例えば、築40年家賃3万円の物件の立ち退きで、100万円の請求だと行き過ぎですよね。まずは、相場を基準に誠意をもって話し合いをしてください。それには、入居者が納得できるような、正当な事由を説明する必要があります。
トラブルが発生した場合、普段管理を任せている管理会社や、入居の募集をしてくれる仲介業者に相談すると思います。アドバイスをもらう分には良いですが、弁護士以外の第三者が立ち退き交渉をするのは違法です。トラブルが発生した場合は、アドバイスをもらいつつ自分で解決するか、弁護士に任せるかの2択となります。
正当事由が認められ、相当の立ち退き料を支払う意志があるにも関わらず、立ち退きを拒否された場合は、裁判手続きをして民事訴訟による明け渡し請求をすることになります。
その場合は主に、立ち退きの正当事由について争うことになります。勝訴してもなお居座られた場合は、最終手段として強制執行の申立ができますが、労力と気力で心身ともに消耗しますので、立ち退き交渉は最初が肝心と言えます。