大家向け火災保険の選び方 基本は補償対象・補償範囲・保険期間の3つ
賃貸経営をする上で欠かせないのが「火災保険」です。さまざまな […]
賃貸物件のオーナーにとって、火災保険は重要な役割があります。火災や自然災害へのリスクに備えるだけではなく、物件の価値を高めるためにも積極的に活用していきたいものです。
今回は、火災保険の補償内容と活用方法について詳しく解説していきます。
目次
火災保険という名称から火災による損害が補償されることはイメージしやすいですが、火災保険の補償範囲はそれだけではありません。火災の他、台風、豪雨、土砂災害、雪害、落雷、雷雨、破裂・爆発など、幅広く補償されています。
火災保険で補償される内容は、どこの保険会社でも基本は同じです。一番シンプルなプランで、火災・破裂爆発・風災・落雷・雪災・雹災が補償されます。プランにより、さらに広い範囲が補償され、水災・水濡れ・物体の飛来衝突・盗難、破損・汚損、いたずらなどがカバーされるようになります。
賃貸物件の家主にとって、さまざまなリスクに備えるためには、火災保険の特約を利用するのがおすすめです。ここでは、賃貸経営の視点から役立つ特約をご紹介します。
家賃収入特約では、他人に貸している住宅が火災などにより損害を受けた結果、被った家賃収入の損失を補償されます。
たとえば、大規模な火災によって長期的な空室が生じた場合や、大雨による洪水で床上浸水してしまい、家賃の収入がなくなった場合などに、その間に得られるはずだった家賃収入を補償してもらうことができます。
ただし、もともと空室が全体の5割以上を占めている場合など、特約がセットできない場合があるので、注意が必要です。
建物の欠陥や、業務遂行に起因する偶然な事故により、他人にケガを負わせたり他人の財物を壊したりした結果、法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害を補償します。
たとえば、以下のような状況が当てはまります。
・管理する建物の外壁が落下し通行人にケガをさせてしまった場合
・破損したエントランスでつまずいた人が骨折をしてしまった場合
・エレベーターが壊れて乗っていた人がケガをしてしまった場合
・マンションの共用廊下の床が滑りやすく、人が転んでケガをした場合
以上のような場合、保険金が支払われます。
賃貸住宅内での死亡事故(自殺、犯罪死、孤独死)により賃貸物件の家主が被る家賃収入の損失や、清掃・脱臭・改装・遺品整理等にかかる費用が補償されます。
死亡事故が発生した部屋が空室になった場合や値引きに対応した場合の補償に加え、隣室に空室が発生した場合も補償の範囲内です。
保険対象の建物において犯罪行為が発生した場合、再発防止のための建物の改造または防犯機器等の設置に必要な費用の補償がされます。
また、ドアのカギが盗難にあった場合、ドアの交換に必要な費用も補償対象です。ただし、犯罪行為に関しては、警察署に届け出たものに限られるため、注意が必要です。
特約が必要かどうか見極めるためには、まずはどのようなリスクがあるのか把握することが大切です。リスクによりどの程度の損害が発生するのかを試算し、賃貸経営に影響が大きい場合に、特約をセットするとよいでしょう。
また、補償内容をしっかり理解しておくことは、保険金の請求漏れを起こさないためにも重要です。どういった場合に保険金が支払われ、どのような場合は適用外となるのか事前に把握しておく必要があります。
火災保険は、被害から遡って保険金を請求することが可能です。たとえば、台風の被害で屋根の一部が破損していた場合、そのときは気づかず、数年後の定期点検で破損が判明したというような場合です。
ただし、その台風の時点で保険に加入していることが条件となり、また、一般的な損害保険請求の時効は3年になります。あまりにも昔に発生した破損では、破損の原因を証明することがむずかしくなるため、補償されないケースがあるのです。
また、火災保険の補償金額の算定には、「新価基準」と「時価基準」があります。「新価」とは同等のものを新たに建築あるいは購入するのに必要な金額をいい、「時価」とは同等のものを新たに建築あるいは購入するのに必要な金額から、経過年数による価値の減少と使用による消耗分を差し引いた金額です。
時価基準では修理費が全額補償されなかったり、同等のものを新たに建築あるいは購入するための費用が補償されなかったりするケースがあるため、新価を基準に保険金額を設定するのがおすすめです。
賃貸経営においてどのようなリスクがあるのかを把握することにより、必要な補償を見極めることができます。火災保険の知識を身に着けて、うまく活用することが安心につながり、安定した賃貸経営を可能にするでしょう。
いざというときのお守りともいわれる保険ですが、あらゆるケースに備えて積極的に活用することをおすすめします。