賃貸借契約に特約をつけるときのポイントと注意点
トラブル回避のために、賃貸借契約に特約をつけようと考える大家 […]
設備や隣人など様々な影響で、入居者の早期退去に悩む大家さんも少なくありません。安定した賃貸経営のためには入居者を募集して空室を埋めることが大切ですが、既存の入居者に長く住んでもらうことも同じくらい重要です。
そこで今回は、入居者の早期退去の原因と、原因別の対策方法についてご紹介します。
早期退去は家賃収入が途切れるだけでなく、新たな入居者を募集するコストもかかるため、賃貸経営にとって避けたい問題のひとつです。入居者の早期退去を減らすためには、入居者が早期退去してしまう原因を知ることから始めましょう。
入居者の早期退去は、主に賃貸物件に対する問題や不満の許容範囲を超えた場合に起こります。
どんな入居者でも賃貸物件に対して、大小さまざまなストレスや不満を持っていることが多いです。しかし、不満に思うことを何か他の点でカバーできていれば簡単に退去することはありません。入居者にとって引越しは大きな負担であるため、転勤など致し方ない理由や大きな問題がない限りは引越しをしない判断をするケースが多いです。
もし退去が相次ぐような場合は、面倒な引越しを選択してでも物件を退去したいという大きな問題があると考えられます。不満や問題の大きさ、とらえ方は入居者によってそれぞれ異なりますが、早期退去する原因は主に4つが挙げられます。
①物件や立地へのストレス・不満
②隣人トラブルへのストレス・不満
③家賃などのコストへのストレス・不満
④入居者のライフステージの変化
それぞれ順番に見ていきましょう。
思っていたより設備が古い・使いにくい場合や、防音性が悪く騒音に悩まされるなど、賃貸物件の設備に対する不満です。築年数に応じて設備の経年劣化が進むのは仕方ありませんが、物件のメンテナンスを怠っていったり故障への対応が遅かったりすると、生活に不便さを感じます。
物件へのストレスや不満は、契約した室内だけでなく共用部分に対しても同様です。エントランス部分など掃除が行き届いておらず清潔感にかけていたり、外廊下の電球が切れているなど共用部分の設備が破損しているなど。室内ほど生活に影響はありませんが、早期退去の後押しとなってしまう原因のひとつです。
また、物件の立地に対しては、夜間がうるさくて眠れない、交通の利便性が悪いなど、立地へのストレスも早期退去に繋がる原因になります。
隣人トラブルも早期退去に繋がる原因のひとつです。深夜に騒ぐ、ゴミ出しのルールを守らないなど入居者の迷惑行為が改善されない場合は、我慢できずに早期退去に繋がってしまいます。。
突然の病気や怪我などで離職してしまうなど毎月の収入が減ってしまうと、月々の家賃は大きな負担となってしまいます。このように、家賃が決め手となって早期退去を決断する方も少なくありません。
また、少し背伸びをした物件に契約したが、結果的に月々の支払いに追われ生活ができなくなってしまったということから、早期退去に繋がる場合もあります。
また、更新料も退去の原因に挙げられます。更新期間は2年間で更新料は1ヵ月分でを設定している場合が多いですが、更新料を払うくらいなら違う物件に引越そうと考える方も一定数います。
結婚や出産など、入居者のライフステージの変化も早期退去の原因です。急な転勤や転職による退去は仕方ありませんが、家族構成の変化に対応できるような物件であれば、ライフステージが変化しても長く住んでもらえる可能性は高まります。
ここからは、入居者の早期退去を防ぐ方法を、上記で解説した4つの原因ごとにそれぞれ紹介していきます。
①物件や立地への対策:設備の清掃・修繕と付加価値
②隣人トラブルへの対策:契約時の条件を見直す
③コストへの対策:家賃や更新料の見直し・設備の修繕
④ライフステージの変化への対策:リフォーム
それぞれ詳しく見ていきましょう。
経年劣化が進んでいる物件の場合は、リノベーションや設備の修繕・交換を行うことで物件に対しての不満を改善することができます。。設備の老朽化は入居者の利便性だけでなく、安全性にも影響します。特に、トラブルの多いキッチンやトイレなどの水回りは優先的に対応しておきましょう。
室内だけでなく、外観が老朽化している場合は、外観の設備交換や修繕を行うことで物件の不満を解消することができます。エントランスの清掃や余計なチラシが捨てれないように集合ポスト周辺にゴミ箱の設置なども合わせて行いましょう。
また交通の不便さなど、立地面への不満を付加価値でカバーするのも対策のひとつです。周辺にペット可やDIY可の物件がなければ価値が高まる他、近年は個人事業主の増加から「SOHO可」のニーズも増えてきています。このように、他の物件にはない魅力を持たせて早期退去を防ぐという方法を検討するのが良いでしょう。
空室を避けたい気持ちから入居基準を甘くしている大家さんも少なくありませんが、注意しないと問題を起こしやすい人を招き入れてしまうおそれがあります。トラブルが多いからとすぐに退去を命じることは難しく、一人の入居者のせいで何人もの退去者が出てしまう可能性も否定できません。
状況によって異なりますが、入居審査を厳しく行い、入居者の質を高めていくのも重要です。ルールを守れそうか、家賃滞納の心配はないかを確認し、入居者同士の属性やライフスタイルをある程度合わせておくことで隣人トラブルの減少が期待できます。
また、契約時にゴミ出しや洗濯機の使用時間など、ルールを契約時に明示しておけば、ライフスタイルの違いによるトラブルを避けられるでしょう。
入居者がコスト面に不安を持っているのは、住む物件と支払うコストが釣り合っていないためです。コストへの不満を解消するには、周辺相場を調べて適切な家賃設定にしたり、更新料の値下げを検討しましょう。また、家賃に見合った物件に引き上げるために、修繕や交換などで設備をアップグレードするのも方法のひとつです。
ライフステージの変化にはリフォームで対応することが可能です。一人暮らし用の物件では難しいかもしれませんが、二人暮らし以上であれば、ライフステージの変化にも対応できる余白を持たせた物件にするのがおすすめです。間仕切りを使うなど家族構成の変化に対応できる物件であれば、同じ物件に長く住んでもらえる可能性が高まります。
安定した家賃収入を得るためには、入居者に長く暮らしてもらうよう何らかのアプローチをすることが大切です。そのためには、入居者の不満を解消して快適な住環境を提供する必要があります。また、今回ご紹介した方法を実施するだけでなく、管理会社に今後の対応を任せるのもひとつの方法なので、手が回らなくなってしまったときは一度相談してみてはいかがでしょうか。