「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」全面施行。その概要や賃貸オーナーにとってのメリットとは?
2021年6月15日に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する […]
新型コロナウイルスの蔓延により、接触機会を減らすためにオンライン化が進み、紙媒体よりも電子媒体を使う機会が増えたという人も多いのではないでしょうか。不動産業界においても契約書類などの電子化が進んでいますが、中には戸惑ってしまう方も少なくありません。
そこで今回は、賃貸借契約の電子化にスポットをあてて、紙媒体との違いや、メリット・デメリットなどを解説していきます。賃貸借契約の電子化を検討中の大家さんは、ぜひ参考にしてみてください。
目次
不動産業界でも話題となっている、電子契約書とはどのようなものなのでしょうか。これまで使っていた紙の契約書との違いも含めて、詳しく見ていきましょう。
国土交通省では、2019年10月1日から3ヶ月間、重要事項説明書等を電子書面で交付する実験を試験的に行いました。その結果として、電子署名の記載や専門業者のサービスなどが必要なことが判明します。また、オンラインでの取引ではセキュリティーを強化する必要があるということもわかりました。
その後、改ざん問題などさまざまな問題を改善した結果、賃貸借契約の電子化が広く普及するようになりました。新型コロナウイルスの感染予防として、オンラインで契約する必要に迫られたという背景も追い風となり、今後もさらに普及が進むと考えられるでしょう。
しかし、契約書には捺印するのが当たり前という風習も根強く残っています。そのため、捺印の必要がない電子契約は、本当に契約が成立するのかどうか、疑問に思う方も少なくありません。この件については、「電子署名及び認証業務に関する法律」について、詳しく言及されています。
第三条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。
このように、捺印がない書類に関しても、正当な契約になるということが明記されています。
引用元:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412AC0000000102
賃貸借契約に関わる書類を電子化することによって大家さんにはどのようなメリットがあるのでしょうか。1つずつ見ていきましょう。
賃貸借契約には管理会社や入居者、仲介会社などさまざまな人が関わることになりますが、紙の媒体では基本的に郵送でのやり取りになるため、手間や時間がかかってしまいます。しかし、電子化すると電子署名で契約を締結することができるので、業務を効率化できるようになります。
紙の契約書を作成する場合、用紙代や印刷代のほか、郵送代や印紙税などがかかります。1つの契約にかかるコストは少ないものの、契約の回数が多くなるとその費用もかさんでしまうことになるでしょう。電子契約にするとこれらの費用がかからなくなるので、大幅にコストを削減することができます。
紙媒体での契約の場合、契約書を郵送でやり取りする必要があり、何かと時間がかかります。急いで入居したい場合でも、契約の締結までに最低3日程度は必要でしょう。
しかし、電子契約であれば今までのような手間がかからないため、急ぎで入居したいという人のニーズに応えることができ、今後の入居率のアップにもつながるでしょう。
紙の契約書は保管の際に紛失のリスクがともないます。その点、電子契約書の場合はデータとして保存しておけるので、紛失のリスクが少なくなります。
紙の契約書の場合、記入漏れや印鑑の押し忘れなどの不備が起こりがちです。そうなると、再度郵送でやり取りをする必要が出てくるため手間がかかります。電子契約書の場合はシステムの方でチェックしてくれるので、記入漏れなどの不備を防ぐことができます。
次に、電子契約書のデメリットを詳しく見ていきましょう。
紙媒体に慣れている方も多く、オンライン上での契約に不安を感じる人も少なくありません。電子契約書の導入にともない、更新契約書も電子化するのであれば、既存の入居者にも十分理解してもらう必要があります。高齢の方やパソコンなどの操作が苦手な人にとっては、操作のサポートなども必要になるでしょう。
賃貸借契約に関して、一部の契約では紙の書面でなくてはならない場合もあります。電子契約と紙媒体での契約が交じることで、業務が複雑になる恐れがあります。トラブルを防ぐためにも、不動産仲介業者や管理会社との連携を大事にしながら進めていきましょう。
最後に賃貸借契約の種類別に、電子化できる契約とできない契約について整理してみましょう。先ほどもお伝えしたとおり、通常の賃貸借契約書と重要事項説明書に関しては、電子契約が可能です。また、入居後に行う契約更新時の合意書に関しても、法律で制限されていないため電子化が可能です。
しかし、下記の2つにおいては、契約時に書面化することが義務付けられているため、紙媒体での契約を交わす必要があります。
①定期借地契約
②定期建物賃貸借契約
完全電子化を希望する方もいますが、上記の2つに関しては従来通り書面で契約を交わしましょう。
今回は不動産業界で普及が広まっている「賃貸借契約の電子化」について解説しました。大家さん側はもちろん、入居者にとってもメリットが多い電子化ですが、トラブルを防ぐためには不動産会社や管理会社との協力が必要です。気になる方は、所有する物件の管理会社に相談してみることをおすすめします。