相続物件の売却理由から考える価格交渉のコツ
賃貸経営を始める際、できるだけ安く賃貸物件を購入するために「 […]
2015年に改正された相続税引き上げの影響で、相続税を支払わなければいけない対象になってしまい、対策として賃貸物件の経営を始めた方は多いのではないでしょうか。
そんな相続税対策の賃貸経営ですが、ポイントを押さえておかないと節税効果が出なかったり、他の支出が増えてしまったりとマイナスポイントもあります。今回は、相続税の対策として賃貸経営を始めようと考えている方に、相続税対策を成功させる方法を解説していきます。
目次
賃貸経営が相続対策になる理由は以下の3つです。
・建物は現金よりも評価額が低くなる
・減額措置が受けられる
・債務控除が適用される
現金を相続すると評価額が100%となり、相続した現金の全額が相続税の対象になります。しかし、建物の場合は建物の面積や建物が建てられた場所の地価により評価額が変動します。100%を上回ることはないので、必然的に現金よりも評価額が下がるという仕組みです。
相続した物件の大きさが200㎡以下の場合、50%の減額措置を受けられます。相続人が相続税の申告期限までに賃貸経営を続けている場合にこの措置を受けられるので、条件を満たしている場合は大きな節税効果になります。
しかし、相続された時点で他に経営している賃貸物件がなく、賃貸経営が3年以内の場合はこの特例から除外される場合もあるので注意しましょう。
相続は現金や物件などの財産だけでなく、借金やローンも含まれます。負の財産は債務控除として財産から差し引かれてから相続税として計算されるので、負の財産が多ければ相続税の負担が軽減されるのです。
物件購入費のローンや固定資産税、光熱費の未払い金や入居者からの敷金が債務控除の対象になります。
相続税対策になる賃貸経営ですが、もちろんメリットばかりではありません。ここでは、賃貸経営におけるメリットとデメリットを紹介していきましょう。
まず大きなメリットとして、長期にわたり安定した収入が得られることが挙げられます。賃貸経営は不労所得なので、不慮の事故や病気のときにも一定の収入を得ることが可能です。土地の資産がある限り賃貸経営ができるので、長期的な家賃収入が期待できます。
さらに、賃貸経営は相続税以外の節税対策にも効果的です。たとえば、賃貸経営で発生した費用はすべて経費として計上できるため、利益を抑えることができ、結果的に所得税や住民税の節税につながります。
ローリスクロングリターンが期待できる賃貸経営ですが、賃貸物件の管理には手間や時間がかかり、入居者からのクレームの対応も必要になるので精神的にも負担が大きいです。管理を別会社に任せる「委託管理」と呼ばれる方法もありますが、多額の手数料がかかってしまうケースもあります。
賃貸経営での相続税対策のメリット・デメリットがわかったところで、実際に相続税対策をしていくことを考えていきましょう。
賃貸経営で相続税対策をするには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。
・3年後以上を見越して始める
・収益性も考える
・相続税対策に精通した建築会社に依頼する
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
はじめての賃貸物件の経営をスタートしてから3年経たずに相続が発生すると、「小規模宅地等の特例」である減額措置が受けられない可能性があります。先述の通り、相続した物件の大きさが200㎡以下の場合は50%の減額措置を受けることができますが、賃貸経営を始めて3年以上経過した物件に限られることが多いです。
将来賃貸物件を相続する予定がある人は、3年後以上を見越し、前もって賃貸物件の経営をスタートしていきましょう。
ただ節税するためだけに賃貸経営を始めてしまうと、維持費や税金で資産を減らしてしまう可能性も考えられます。せっかく相続税を節税できたものの、トータルでマイナスになってしまっては意味がありません。
「安定した家賃収入が得られる賃貸物件にする」という目標を定め、入居者を増やし、修繕費を抑えて一定の利益が出るような賃貸経営を心がけましょう。
相続税の対策は複雑なので、税理士など税金の専門家に相談するのがいいでしょう。さらに、修繕やリフォームを依頼する建築会社は、税金対策に精通した会社を選ぶことがおすすめです。
建築会社によっては、節税対策について提携した税理士に相談できる場合もあります。専門家に相談しながら、効果の高い節税対策を目指しましょう。
相続税対策で賃貸経営をするデメリットでもお伝えした通り、手間や時間の負担がかかり、片手間で儲けるにはむずかしいのが賃貸経営です。次に、賃貸経営をすることのリスクをお伝えしていきます。
賃貸経営の主な収入は、入居者からの家賃収入です。入居者がいなくても賃貸経営の経費はかかってしまうので、入居者が入らず空室が続けば、収入が見込めず赤字状態になります。入居率を維持するために、効率的に入居者を募集したり適正な家賃を設定したりなどの対策を行いましょう。
賃貸物件には、共有部分の光熱費、故障や不備による修理費などの費用に加え、10〜15年ごとに発生する外壁塗装や防水工事、給排水などの管理費用といった大きな修繕費が必要になります。メンテナンスを怠ると賃貸物件の価値が下がり空室につながるので、必ず行わなければいけません。
こうした長期の修繕費も頭に入れ、資金に余裕をもって計画を立てることが賃貸経営には不可欠です。
地震災害が多い日本では、地震による建物被害は無視できない問題です。地震保険に加入し、火災保険などの保険にもなるべく加入することがおすすめです。
大きく3つの理由から相続税の対策ができる賃貸経営。相続税を抑えられるほか、定期的に収入が得られたり所得税の節税ができたりと大きなメリットがあり、賃貸経営は活用すべき相続対策の選択肢だといえます。賃貸経営にはリスクやデメリットもあるので、3つのポイントをしっかり押さえて、資産がマイナスにならないよう心がけましょう。