エイブル

家主様・オーナー様向けサイト
  1. HOME
  2. お役立ち記事

大家さんになったら知っておきたい経費の種類と確定申告の節税テクニック

相続・節税
公開日:
更新日:
#賃貸経営の知識をつけたい
大家さんになったら知っておきたい経費の種類と確定申告の節税テクニック

土地や建物などの不動産を貸して家賃を得ている場合、確定申告が必要です。確定申告は1月1日~12月31日の1年間の所得と納税額を計算し税務署に報告する手続きですが、給与収入などがあって、不動産所得が赤字の場合には税金が戻ってくることもあります。

きちんと確定申告することで、払いすぎた税金が戻ってくるとうれしいですよね。確定申告の際にどんなものが経費にできるのか、節税テクニックについて詳しく解説します。

賃貸経営の確定申告は経費の最大化と利益の圧縮が大切

確定申告 テクニック 大家2

不動産所得は、不動産収入から経費を差し引いて計算されます。賃貸経営の確定申告で大切なことは、経費にできるものを余さず経費に計上し、所得をできるだけ小さくすることです。そうすることで税金を少なくでき、節税に繋がります。

賃貸経営の経費は13種類

賃貸経営の確定申告で、どんなものが経費にできるのでしょうか。一般的に経費と認められるものについて項目ごとに詳しく解説します。

大家さんの経費① 租税公課

租税公課とは、税金や賦課金の総称です。租税は税金のことで、印紙税、固定資産税、都市計画税、不動産取得税、自動車税(軽自動車税)、軽油引取税、事業税、事業所税、登録免許税、確定申告書の提出期限延長の利子税などがあります。

公課とは、国・地方公共団体から課せられる交付金や会費などのことです。経費と認められる公課の代表的なものには、印鑑証明書や住民票の発行にかかる手数料やその他公共サービスに対する手数料、商工会や商工会議所、協同組合、同業者組合などの会費、組合費、賦課金などがあります。

なお、租税公課は、損益計算書では「販売費および一般管理費」に計上されます。

大家さんの経費② 損害保険料

賃貸物件にかけた火災保険や地震保険の保険料は経費にできます。ただし、複数年にわたる契約でも、支払った年度に全額経費計上する点に注意が必要です。

大家さんの経費③ 減価償却費(建物の購入費など)

賃貸物件の取得費用は金額が大きいため、想定される耐用年数で分割して費用計上します。減価償却とは、価値が目減りしていくものを費用とする考え方であり、土地は減価償却できません。耐用年数は、建物の構造により異なります。

大家さんの経費④ 修繕費

建物の修繕や室内設備の交換などにかかった費用は、修繕費として費用に計上できます。

修繕費とは建物を原状回復するための費用で、たとえば、ルームクリーニング、壁紙の張替え、建具の修理、共用部分の蛍光灯の取替え、入退去における鍵の交換、キッチン、お風呂、トイレの修理、外壁塗装工事、屋上防水工事、エアコンの取替え、給湯器の取替え、キッチン・お風呂・トイレの取替えなどです。

ただし、建物の使用可能期間を延長したり、価値を高めたりする工事は「資本的支出」とされ、一定額を超える場合は、一度に経費計上するのではなく、修繕した資産の耐用年数に応じて減価償却により経費化していきます。

大家さんの経費⑤ 借入金利息

借入金利息とは、物件購入のために組んだローンの利息です。返済額には元金と利息が含まれますが、経費にできるのは利息部分のみです。そのため、返済額のうち元金と利息の内訳をし把握しておく必要があります。

大家さんの経費⑥ 管理費

管理会社に支払う管理費です。その他、警備保証会社に支払う防犯費やエレベータの点検費、給排水設備費、電気系統の保守点検費、共有部分の清掃費、管理組合の運営サポート費用なども管理費に含まれます。

大家さんの経費⑦ 広告宣伝費

入居者募集のための広告費は広告宣伝費として費用計上します。不動産会社に委託した場合は、委託費が広告宣伝費となります。

大家さんの経費⑧ 交通費

賃貸経営の業務のために発生した交通費は、経費計上できます。タクシー代、電車賃、バス代、飛行機代、車のガソリン代、駐車場代や高速代などが含まれます。車を業務とプライベートと両方で使用している場合は、使用割合に応じて按分するか、業務で移動した距離に燃費をかけて求めます。

大家さんの経費⑨ 通信費

賃貸経営の業務で発生した電話代、ネット通信費、プロバイダ代、郵便代、送料などは通信費として経費計上できます。電話やパソコンをプライベートでも使用している場合は使用割合に応じて按分して計上します。

大家さんの経費⑩ 新聞図書費

賃貸経営に必要な情報収集のための新聞購読や書籍代は、新聞図書費として経費計上できます。

大家さんの経費⑪ 接待交際費

取引先への接待などの飲食代や手土産・お中元・お歳暮などの贈答品代は接待交際費として経費計上します。なお、飲食代が一人当たり5000円以下であれば会議費として処理することもできます。

大家さんの経費⑫ 消耗品費

事務用品や名刺は、消耗品費として費用計上できます。また、1個又は1組の金額が10万円未満、もしくは使用可能期間が1年未満の少額減価償却資産も消耗品費にできます。

大家さんの経費⑬ 税理士などに依頼した費用

確定申告や税務書類の作成などを依頼した場合の税理士報酬、年間の顧問契約費、トラブル解決のための弁護士費用などは、「支払手数料」として経費計上します。

減価償却費の計算方法とポイント2つ

減価償却の計算方法には、「定額法」と「定率法」があります。

定額法とは、固定資産の耐用年数中、毎期均等額の減価償却費を計上する方法です。

・減価償却費 = 未償却残高(購入年度は取得価額) × 定率法償却率

一方、定率法は、定率法は、残存価値に対して一定の割合で減価償却を行う方法で、償却する額は初年度がもっとも多く、その後は経年とともに減少していきます。

・減価償却費 = 未償却残高(購入年度は取得価額) × 定率法償却率

なお、建物などは定額法で計算するほうが望ましいとされています。

その他にも注意するポイントをご紹介します。

少額減価償却資産を使えば、30万円未満の固定資産の取得費を全額必要経費にできる

中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産を平成18年4月1日から令和4年3月31日までの間に取得などして事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入できます。これを「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」と言います。

仲介手数料は経費ではなく減価償却費で計上する

仲介手数料は建物と土地で扱いが異なります。建物に関する仲介手数料は、不動産取得費用として減価償却の対象です。

一方の土地の仲介手数料は減価償却の対象とならず、売却した場合の取得費として譲渡所得から控除されます。

【上級編】賃貸経営で試したい2つの節税対策

不動産経営における節税対策では、事業のための経費を漏らさず計上することが大切です。ただし、経費として認められるものは事業に必要なものに限られているため、節税効果は限定されます。

管理会社を設立して法人化する

不動産収入が大きい場合、管理会社を作って法人化することが節税対策として有効です。個人事業主が支払う所得税の最高税率45%に対して法人税の最高税率は23.20%であり、不動産所得が大きいほど節税効果が見込めます。

また、赤字の繰り越しが個人事業主で3年に対して法人は10年まで可能です。その他、小規模企業共済等掛金を控除できることや、所得を給与として分配できることもメリットです。

所得控除を活用する

個人型確定拠出年金(iDeCo)の活用や、生命保険料控除、医療費控除、扶養控除など、所得から控除される項目で使用できるものは積極的に活用することが節税対策に繋がります。

賃貸経営の節税対策は出来ることから始めてみましょう

賃貸経営の規模が大きくなり収入が増えるにつれて、節税効果も大きくなります。普段から業務にかかった費用は帳簿につけたり領収書をきちんと保管しておくなど、対策しておくと良いでしょう。また、確定申告は複雑で専門知識が必要なため、税理士に依頼するのもおすすめです。

フリーワード検索