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日本政策金融公庫で不動産融資を受ける方法と注意点

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#賃貸経営の知識をつけたい
日本政策金融公庫で不動産融資を受ける方法と注意点

不動産投資をする場合、投資物件を取得するために不動産投資ローンを利用するのが一般的。どの金融機関から融資を受けるのか検討する中で、有力な選択肢のひとつになるのが「日本政策金融公庫」です。

日本政策金融公庫は、政府が100%出資している政策金融機関です。国民生活の向上や地域経済の活性化を目的とし、中小企業や小規模事業者などにも積極的に融資を行っています。「低金利」と「柔軟な融資条件」が多くの投資家に支持されており、その名を聞いたことがある方も多いでしょう。

しかし、利用するためには、押さえるべき注意点があります。この記事では、融資を受けるための「条件」を整理し、メリットとデメリットをも解説。日本政策金融公庫を利用するステップもわかりやすく説明します。

目次

日本政策金融公庫から不動産融資を受けるための条件は?

日本政策金融公庫 金利2

まずは、日本政策金融公庫のローンを利用する際に押さえるべきポイントを整理してみましょう。

1.不動産「賃貸業」のための融資であること

日本政策金融公庫の融資は、中小企業の育成や地域経済の活性化を目的としているため、自分の収入を増やす「投資」が目的だと対象外になる可能性があります。融資を受けられるのは、国民生活に資する「不動産賃貸事業」です。申し込みや面談の際は「投資」というキーワードを避け、「賃貸業を営む」「賃貸事業を始める」前提を意識しましょう。事業計画書にも、「地域の需要に応じた住宅供給」「空き家の有効活用」など、社会的意義のある事業目的を記入するのがおすすめです。

2.2000万円以上の融資を受ける場合、不動産を担保に入れること

日本政策金融公庫では無担保の融資は2000万円が限度額になります。それ以上の融資を受けるためには、不動産賃貸事業のための不動産を担保にする必要があります。公庫側の融資のリスク軽減と返済の確実性を高めるためです。融資額は担保となる不動産の評価額で決定されます。保証人は一般的には不要です。法人の場合は代表者の連帯保証が必要になることがあります。

3.税金や公共料金などの滞納、信用情報に金融事故情報がないこと

融資審査の際、申込者の信用状況が重要な判断材料となります。冒頭で説明したように、日本政策金融公庫は公的な特性を持つ金融機関です。このため、税金や公共料金の滞納がある個人には融資を受けられない可能性があります。

また、融資の審査においては「信用情報」も重要なチェックポイントになります。日本政策金融公庫では、信用情報機関に登録されている個人信用情報を与信の判断に利用します。信用情報に金融事故情報がなければ、返済能力の裏付け裏づけになるためです。ただし、過去に滞納があった場合でも、現在は全て返済して返済能力に問題がないことを証明できれば、審査を通過する可能性があります。

日本政策金融公庫で不動産融資を受けるメリット、デメリットや注意点

日本政策金融公庫から不動産融資を受けるメリットをまとめました。あらためて確認しつつ、デメリットと注意点も押さえておきましょう。

メリット

1. 低金利で融資が受けられる

日本政策金融公庫の融資は、ほぼ固定金利で提供されており、民間の金融機関よりも低い金利で借り入れることができるといわれています。固定金利は返済期間中に金利が上がらないため、金利上昇の影響も避けることができます。長期的な返済計画を立てる上では、メリットといえるでしょう。

2. 融資対象が広い

築古物件でも融資審査の対象になるため、物件選択の幅が広がります。全国に152の支店があり、地方の物件でも融資を受けやすいのもメリットです。

3. 融資条件が柔軟

個人属性(年収や預貯金額)の審査のハードルがメガバンク(都市銀行)などにくらべて比較的低く設定されており、融資が受けやすくなります。また、個人は保証人の用意や団体信用生命保険(団信)の加入が不要です。

4. 優遇措置がある

女性や若年層(35歳未満)、シニア(55歳以上)には優遇措置があり、特定の条件を満たすと、さらに有利な条件で融資を受けることができます。

デメリットと注意点

1.融資期間に制限がある

民間銀行よりも融資期間が短い傾向があり、基本的には最長で10年です。金利の面で魅力を感じる人が多いとはいえ、融資額よっては毎月の返済額が多くなり、長期的な資金計画に制約が生じる可能性もあります。

2. 担保の評価と審査が厳しい

担保評価が厳しいため、融資額は担保価値によって大きく変動し、希望する融資額を確保できない場合があります。審査期間が長引いて、スピーディーな資金調達が難しくなることも。審査で提出する書類の多さについても注意が必要です。本人確認書類に加えて借入申込書、事業計画書や申告決算書、キャッシュフロー試算表などの提出も求められます。

3. 一定の自己資金が必要になる

フルローンを組むのは難しいため、基本的には自己資金がなければ審査が通りません。一定の自己資金が必要になるため、民間の金融企画で融資を利用する場合と比較すると初期投資の負担が増す場合もあります。

ほかの金融機関との違い

日本政策金融公庫と他の金融機関との違い

2024年7月現在、各金融機関の金利相場は以下の通りです。

都市銀行(メガバンク):1%~2%台
地方銀行:1%~8%(ボリュームゾーンは2%~4%台)
信用金庫・信用組合:2%~4%台
日本政策金融公庫:1.1%~2%
※各金融機関のHPに掲載されている金利を参考に編集部が作成

日本政策金融公庫は、金利以外にも民間金融機関との違いがあります。下記のような違いを考慮し、自身の事業状況や資金ニーズに合わせて適切な融資先を選択しましょう。

民間金融機関に比べ返済が柔軟

日本政策金融公庫は一括繰り上げ返済を受け入れていますが、民間金融機関はペナルティを設けることが多く、条件が厳しいことがあります。

提案・サポートの違い

日本政策金融公庫は積極的な提案や営業を抑えがちな傾向があります。民間金融機関、特に信用金庫は、顧客のニーズに応じたきめ細かいサポート、追加サービスを提案してくる傾向があります。

創業初期の企業や小規模事業者への対応

日本政策金融公庫は中小企業の育成や創業支援を重視しているため、創業初期の企業や小規模事業者でも審査が通りやすいといわれています。一方、民間金融機関は事業実績や財務状況を重視するため、創業初期の企業が融資を受けるのは難しい傾向にあります。

日本政策金融公庫で融資を受けるべき人とは?

これまでのポイントを踏まえて、日本政策金融公庫から融資を検討すべき方の条件を考えてみましょう。公庫融資を選択したほうが良いのは次のような方です。

創業初期の不動産投資家

創業支援を重視しているため、不動産賃貸業を新たに始める創業初期の投資家も融資を受けやすいといえるでしょう。

柔軟に資金を調達したい方

個人属性(年収や預貯金額)のハードルが比較的低く、保証人や団体信用生命保険(団信)の加入も不要です。

女性や若年層、シニア

女性や(35歳未満)、シニア(55歳以上)の投資家には優遇措置があるため、ります。有利な条件で融資を受けられる可能性があります。

地方で賃貸経営を考えている方

全国152箇所に支店があるため、地方の物件でも融資を受けやすい環境が整っています。

築古物件を活用したい投資家

築古物件でも融資審査の対象となるため、築古物件を購入・改修して賃貸経営を行いたい投資家にも適しています。

日本政策金融公庫で融資を受ける流れ

最後に、融資を受けるためのステップを整理してみましょう。

1. 事前準備:事業(創業)計画書の作成

事業の概要、市場分析、競合分析、マーケティング戦略、収支計画、資金計画などを含む詳細な事業計画書や創業計画書を作成します。必要に応じて、中小企業診断士や税理士などの専門家のアドバイスを受けることも検討しましょう。

2. 予約を取り、最寄りの支店やビジネスサポートプラザ、オンラインで相談

日本政策金融公庫の公式サイトで最寄りの支店を確認し、事前にメールまたは電話で相談の予約を取ります。来店のほかオンラインでの相談も可能です。初回相談時には、事業(創業)計画書の素案や事業のアイデアを持参し、担当者と詳細な話し合いを行います。このステップで、融資の可能性や必要書類について具体的なアドバイスを受けることができます。

【参考サイト】予約相談(お借入またはご返済に関するご相談)【国民生活事業】|日本政策金融公庫

3. 必要な書類を揃える

初回相談後、正式な融資申込みを行います。申込書に必要事項を記入し、必要書類と共に提出します。

必要書類
本人確認書類:実印や住民票の写し(原本)、運転免許証や通帳のコピーなど
物件に関する資料:投資物件の登記簿謄本や図面、固定資産税評価証明書やキャッシュフローの試算表など
収入と返済に関する資料:過去2~3年分の源泉徴収票または確定申告書の写し、事業(創業)計画書など
※詳しくは初回の相談時にご確認ください

4. 審査融資を申し込む

その後、面談を通して事業計画の詳細や資金使途などについて質問を受けます。審査のポイントは、事業の実現可能性と収益性、資金計画の妥当性、返済能力などです。特に、事業計画の具体性と実現可能性、申請する人の熱意や不動産事業への理解度も重要です。審査期間は通常2~3週間程度ですが、案件によって異なる場合があります。

これらのステップを丁寧に進めることで、日本政策金融公庫からの融資獲得の可能性が高まっていくでしょう。

無理のない返済計画で賃貸経営を成功させよう

本記事では、日本政策金融公庫を活用した不動産投資について解説しました。日本政策金融公庫は、中小企業や個人事業主向けの政策金融機関として、比較的低金利で融資を受けられる可能性があり、特に創業初期の投資家にとって魅力的な選択肢になるはずです。

しかし、融資を受けるには適切な事業計画の作成や必要書類の準備が不可欠です。自己資金の準備や事業の実現可能性の検討など、しっかりとした準備を行いましょう。
融資を検討する際は、自身の事業計画や財務状況を客観的に評価し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。