不動産管理信託の仕組みとメリット・デメリットを基礎から解説!相続対策での注意点も
「信頼できる人に自身の不動産管理を任せたい」「不動産を孫の代 […]
転勤や海外赴任などが決まった場合、持ち家が一時的に空き家になってしまいます。住む人がいない場合でも固定資産税などの税金はかかり、住宅ローンが残っている場合は返済が続きます。そんなときにおすすめしたいのが、期間限定で家を貸し出し、家賃収入を得られる「リロケーション」という賃貸形態です。
そこで今回は、「リロケーション」についての概要や事業者にサービスを依頼する際の流れ、費用、メリットやデメリットを解説していきます。
目次
もともとリロケーション(relocation:移動・移転)とは、海外や田舎、離島などに移住することを指す言葉。今回の記事で解説する、不動産投資におけるリロケーションとは、転勤などの理由により一時的に空き家となってしまう住宅を賃貸に出すことを指します。。
契約方法は、一般的な普通借家契約とは異なる「定期借家契約」となります。この場合、貸主側が賃貸期間を決められるのがメリットです。
不動産賃貸を行う際には、入居者の募集から家賃の回収、物件管理、トラブル対応などさまざまな手間がかかるため、リロケーションサービスの専門事業者に委託する人も多くいます。普通借家契約に比べて、入居可能期間が限定されることから、特に入居者の募集が難しいため、「貸主→借主(リロケーション事業者)→転借人(実際の入居者)」という転貸型で貸すのが一般的です。
リロケーション事業者に依頼する場合の流れは、一般的には以下のとおりです。
1. 賃料査定(想定賃料を算出してもらう)
2. リロケーション事業者と賃貸借契約・賃貸業務委託契約の締結
3. 入居者募集(リロケーション事業者による審査)
4. リロケーション事業者と入居希望者の間で転貸借契約の締結、入居
5. 契約期間満了・退去
リロケーション事業者は、貸主にとっては借主、入居者にとっては家主となるため、入居中の家賃の回収やトラブル対応などは家主であるリロケーション事業者が行ってくれます。
リロケーション事業者を利用した場合、手数料(家賃の約10%)がかかります。この場合の手数料は、一般的な賃貸契約(約5%が相場) よりも割高になる傾向にあります。
その他、貸主が負担しなければならない費用は、以下のとおりです。
【貸主が負担する費用 場合によって追加でかかる費用】
· リロケーション事業者への手数料
· 固定資産税、都市計画税
· マンションの管理費、修繕積立金
· 不動産所得にかかる所得税、住民税 · 管理委託申込料
· 契約事務手数料
· 保証料
· 修繕費など
空き家の活用でリロケーションサービスを利用するメリットは、主に3つあります。
【リロケーションのメリット】
· 退去してもらう時期を決められる
· 住宅の管理をリロケーション事業者に任せられる
· 家賃収入が得られる
リロケーションの契約方法である定期借家契約(定期建物賃貸借契約)は、契約で定めた期間が満了すると、その後の契約更新は行われません。 賃貸契約が確実に終了する契約を結ぶため、賃貸契約の満了期間を貸主が転勤などから戻ってくる時期に合わせて設定することが可能です。
住宅の管理は、空き家専門の管理事業者に有料で依頼することも可能です。しかし、リロケーションサービスを利用した場合、リロケーション事業者が物件管理を行ってくれるだけでなく、入居者がいることで防犯・防災にもつながります。
持ち家があると、住む人がいなくても固定資産税の納税義務があり、住宅ローンが残っている場合は返済も続きます。リロケーションサービスを利用して賃貸に出せば、家賃収入を得られますので、これらの支払いについての負担が大きく増えることはありません。
ただし、金融機関によっては住宅ローン返済中の他人への貸出しを認めていないケースもあります。リロケーションを実施する前に、自己居住以外でローンが継続できるか、金融機関に確認をとることが必須となります。
空き家の活用でリロケーションサービスを利用する場合、次のようなデメリットもあることを知っておきましょう。
【リロケーションのデメリット】
· 通常の賃貸よりも家賃収入は少ない
· 契約変更ができない
· 不動産所得について確定申告が必要
入居できる期間が決まっている定期借家契約は、借主にとって不利な契約になりますので、入居者の募集で苦労することもあります。そのため、家賃については、周辺相場よりも安い金額に設定する必要があるでしょう。
また、リロケーション事業者へ支払う手数料も、一般的な契約より割高になりますので、結果的に通常の賃貸よりも家賃収入は少なくなります。
リロケーションサービスを利用して定期借家契約を結んだ場合、原則として契約の変更はできません。例えば、転勤期間が予定より短くなった場合でも、借主には契約上で入居可能な権利があるので、借主に早く退去してもらうことは難しいのです。ただし、リロケーション事業者やプランによって規定が異なるので、事前にチェックしておきましょう。
リロケーションで不動産所得を得た場合は、確定申告が必要となります。ご自身で申告するか、税理士・リロケーション事業者に有料で代行してもらう必要があります。
また、不動産所得で収入が増えたことにより、住民税が上がる可能性がありますし、住宅ローン控除が適用されなくなるケースも。予定している家賃収入と、不動産会社や納税などの差し引きで、実際に得られる金額を見極めるとよいでしょう。
ただし、住宅ローン返済中の持ち家でリロケーションを実施する場合は、金融機関によって可否の判断が異なります。まずは、金融機関へ相談・確認を取るようにしてください。
リロケーションサービスは、一時的な空き家を活用して家賃収入を得られるという、画期的な空き家活用方法の1つです。一般的な賃貸住宅と比較して家賃が安く、入居者募集が難しい傾向もありますが、家賃収入や防犯になるなどメリットも大きいのが特徴といえます。ご紹介したメリット・デメリットも把握したうえで、リロケーションサービスについて検討してみてはいかがでしょうか。