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「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」全面施行。その概要や賃貸オーナーにとってのメリットとは?

賃貸経営の基礎
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#賃貸経営の知識をつけたい
「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」全面施行。その概要や賃貸オーナーにとってのメリットとは?

2021年6月15日に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が完全施行されました。この法律によって、サブリース事業者と大家さんとの間で結ばれる賃貸借契約の適正化が図られるとともに、200戸以上の住戸を管理する賃貸住宅管理業者には「登録」が義務付けられます。大家さんにはどのような影響があるのでしょうか。

今回は「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」の概要を解説していきます。大家さんが知っておきたいポイントや注意点も紹介していきますのでぜひ参考にしてください。

「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」成立の背景

大家さんの高齢化などもあり、管理会社などに賃貸物件の管理業務を委託するケースが徐々に増えてきています。2019年7月~8月に国土交通省が実施した「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査」によると、8割以上の大家さんが管理業務を委託しています。

しかしこれまでは管理業務に関する法律がなかったため、大家さんと管理会社、入居者との間にトラブルが発生することも多く、大きな社会問題となっていました。

特に賃貸経営を管理業者に一任できる「サブリース方式」についてのトラブルといえば、「かぼちゃの馬車」事件を思い出す方も多いでしょう。運営元はオーナーを募り、女性専用のシェアハウス「かぼちゃの馬車」を販売。オーナーから物件を一括で借り上げ運用するサブリース契約となっていました。

毎月振り込まれる家賃収入から建物のローンを返済して、残った分がオーナーの利益になるという仕組みでしたが、運営元がずさんな経営体制によって資金難に陥り経営破綻。サブリース賃料の支払いを停止したことから、ローン返済が困難になってしまう大家さんが続出しました。この事件は、サブリースに関して十分な説明がなされないまま、契約に至ってしまったことも原因の1つとされています。

こうした契約条件の誤認を原因とするトラブルを防止し、賃貸物件管理業務の適正な運営と、借主・貸主の利益保護を目的に新法が成立しました。

「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」概要

法律と本
「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」は、以下の2つの柱から成り立っています。

1. 賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設
2. サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化に係る措置

それぞれの概要を、詳しく見ていきましょう。

賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設

新法の施行によって、賃貸住宅管理業者の登録制度が創設されました。
目的は、賃貸住宅における良好な居住環境の確保、不良業者を排除し、業界の健全な発展・育成を図ることとされています。

①賃貸住宅管理業の登録(第3条)
委託を受けて200戸以上の賃貸住宅の管理業務を行う事業者には、国土交通省への登録が義務付けられました。登録を怠った場合、管理業務を行うことができなくなります。

②賃貸住宅管理業者の業務における義務付け(第10~21条)
営業所や事務所ごとに、業務管理者を1名以上配置する必要があります。仮に管理者を置かずに契約を締結した場合、30万円以下の罰金や7日間の業務停止などの罰則や監督処分の対象となります。

業務管理者の要件は、登録試験に合格して登録した者。または宅建建物取引士で、賃貸住宅管理業務管理者講習を終了した者と決められています。いずれも、管理業務の実務経験が2年以上必要です。

業務管理者の職務は主に、重要事項説明及び書面の交付や管理受託契約書の交付、家賃や敷金、共益費などの管理などが挙げられます。また、帳簿の備え付けや大家さんへの定期報告、秘密保持や入居者からの問い合わせ対応など。

これらの職務は、多くの賃貸住宅管理業者において通常の業務として行っていることを可視化したものともいえます。今回の登録制度により不良管理業者が淘汰され、不動産業界の健全化が図られることとなります。

サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化に係る措置

前述のようなサブリース業者をめぐるトラブルを未然に防止し大家さんの権利を保護するため、全てのサブリース業者の勧誘時や契約締結時に一定の規制が導入されました。

①誇大広告の禁止(第28条)
サブリース業者及び勧誘者が広告を行う際、家賃保証や契約変更に関する事項に関して著しく事実に相違する表示や、実際より有利と誤認するような表示を行うことが禁止されました。

②不当な勧誘行為の禁止(第29条)
サブリース業者及び勧誘者は特定賃貸借契約の締結の勧誘に際し、家賃の減額リスクなど大家さん側の判断に影響を及ぼす内容について故意に事実を告げなかったり、不実のことを告げたりする行為が禁止されました。

③特定賃貸借契約締結前の重要事項説明(第30条)
特定賃貸借契約の締結前までに契約内容を記載した書面を交付して、その内容の説明をサブリース業者自ら行うことが義務付けられました。

「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」施行によってオーナーにとって何が変わる?

今回の法律は、「管理業務の適正な運営」と「借主と貸主の利益保護」が目的で施行されました。これらによって、大家さんは安心して管理業務を委託することができるようになります。具体的には以下のようなメリットを得ることができます。

・不良業者が淘汰され、質の高い管理を行う賃貸管理業者のみが選ばれるようになる
・サブリース業者から不当な広告・勧誘を受けるリスクが減り、トラブルを未然に防ぐことができる
・家賃減額などのリスクについて適正に説明がなされ、大家さんの利益が守られる

「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」施行によって適切な賃貸管理を!

今回は、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」の概要を解説しました。新法により、管理業務の委託が健全化されます。

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