賃貸物件の管理方法のひとつに「サブリース（一括借り上げ）管理」があります。

空室による収入の減少を防ぐことができる手段のひとつとして非常に有効なのですが、トラブルや落とし穴があることも事実。「こんなはずじゃなかった…」とならないためにも、サブリースの仕組みやメリット・デメリット、サブリース会社を選ぶコツをしっかり押さえておくようにしましょう。

サブリースの仕組みと契約の流れ

サブリースの意味は「転貸」。サブリース契約とは、所有する賃貸物件を不動産管理会社に一括借り上げしてもらい、毎月定額の家賃保証が受けられる契約のことです。サブリース会社からは入居の有無に関わらず、オーナーに一定のリース料が支払われます。賃貸経営のリスクである空室リスクを回避する手段のひとつとされ、保証される金額は家賃相場の80～90％ほどとなっています。

またサブリース契約では、オーナーが入居者と個別の賃貸借契約を締結する必要はありません。入居者からするとサブリース会社が大家さんとなり、賃料不払いに対する催促やクレーム対応なども全てサブリース会社が行うこととなります。

サブリース契約の大まかな流れは、「現地調査→一括借上げの承認→建築請負契約の締結→一括借上げ契約の締結→入居者の募集と審査→賃料代金の支払い」となります。

サブリースのメリット

サブリースの一番のメリットは、安定した収益が得られることでしょう。空室の増加や入居者の滞納などがあっても、サブリース契約で定められた一定の賃料を受け取ることができます。

また管理業務を一括で任せられる点もメリットのひとつ。管理運営業務を全て代行してもらえるため、手間がかかりません。

サブリースのデメリットと注意点

サブリースのでデメリットのひとつに、家賃収入の最大化ができないという点があります。空室があっても収益が見込める代わりに、もし入居希望者が殺到して常時満室となったとしても満額もらうことはできず、契約時に決めた一定額しか支払われません。

また、賃料が保証されるのは契約期間内だけであることも気を付けておきたい点です。契約は数年ごとに家賃保証の見直しがあるのが一般的。その際に賃料が改定されて下がるケースも多いのです。賃料見直しや改定の時期などが、契約書にどのように記載してあるのか確認しておくことが大切です。

契約をする前に、サブリース会社から提示された賃料の妥当性について調べた方が良いでしょう。サブリースでオーナーが受け取れる家賃は「満室の場合の家賃合計×80～90％」となります。サブリース会社を選ぶときは、適切な賃料を提示する会社を選ぶようにしましょう。

サブリースの賃料相場

サブリースの賃料率の相場は、80～90％となっています。例えば建物全体の家賃合計が400万円の場合、オーナーが受け取れる家賃は320万円～360万円になります。

都内の戸数が多いワンルームマンションのようにほとんど空室が発生しない物件であれば料率は高くなり、地方の物件や築古物件など空室リスクが高い物件だと料率は低くなる傾向があります。

サブリース契約にかかる費用

サブリース契約そのものには費用は掛かりません。しかしあくまでオーナーが最終的な経営責任者であるため、実際には費用を負担しなければならない場面もあります。サブリースでかかる費用について、ひとつずつ見ていきましょう。

サブリースの経費負担

物件のメンテナンス費用においては、オーナーの負担となることが一般的です。建物の大規模修繕費やエアコンや給湯器など設備の修繕費、共有部分の電気水道代やクリーニング、植栽の剪定費用などが含まれます。

原状回復費用はオーナー負担

敷金や礼金、更新料などはサブリース会社の収益になりますが、入居者入れ替え時の原状回復費用は通常オーナー負担となります。

またサブリース会社によっては、原状回復工事の発注先に自社を指定してくるケースも。サブリース契約を行う前に、費用の負担の有無に加えて工事の発注先に関する指定があるかどうかも確認しておくようにしましょう。

良いサブリース会社を選ぶコツ

サブリース会社がもし破綻してしまったら、保証をしてもらえなくなる可能性があります。経営状況に問題ない会社を選ぶことが大切です。同時に、管理実績や入居者募集のノウハウがあるかどうかもしっかり確認しておきましょう。

また、会社の考えを押し付けてきたり、オーナーの希望を無視するようなサブリース会社はおすすめできません。報告・連絡・相談をしっかり行い、誠実な対応してくれるサブリース会社を選ぶようにしましょう。

「長期家賃保証！」と謳うサブリース会社は魅力的に感じます。しかし、サブリースは賃貸管理におけるひとつの手段。自主管理や管理委託も選択肢に入れて、それぞれのメリット・デメリットについてよく考えてみることをおすすめします。その上でサブリース契約を行うならば、契約内容をしっかり確認し、納得したうえで契約するようにしましょう。