自宅の建て替えや相続した土地活用のため、賃貸併用住宅を検討している方も多いのではないでしょうか。

賃貸併用住宅は自宅と家賃収入の両方が叶う魅力的な住宅です。しかし、通常のアパート経営とは異なる注意点があります。

そこで今回は賃貸併用住宅のメリットとデメリット、またローンについての注意点も併せてご紹介します。

賃貸併用住宅ローンとは

賃貸併用住宅は住宅ローンの利用が可能です。

賃貸併用住宅ローンのひとつに「フラット35」があります。フラット35とは、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する住宅ローンです。

35年の長期金利が固定されており、保証人や保証料が不要などのメリットがある一方で、自宅部分にしか利用できないため注意が必要です。

賃貸併用住宅のメリット・デメリット

賃貸併用住宅には通常のアパート経営とは異なるメリットとデメリットがあります。それぞれ見ていきましょう。

メリット

最も大きいメリットは住宅ローンを組める点です。

通常、賃貸物件はアパートローンを組みますが、賃貸併用住宅は住宅ローンの利用が可能です。一般的にアパートローンよりも住宅ローンの方が金利が低く、住宅ローンの控除も適用されます。

次に、住宅ローンの負担が軽くなる点です。家賃収入から住宅ローンを返済できるため、負担が軽減されるメリットがあります。

また賃貸併用住宅にすることで、相続税対策になります。なぜなら敷地が自宅になっているよりも、相続税評価額が下がるからです。

さらに要件を満たすことで、小規模宅地等の特例が使えます。アパート部分の土地と物件に対して評価額が減額されるため、相続税の節税につながります。

以上のようなメリットから、賃貸併用住宅は自宅の購入や建て替えを考えている人、また相続した土地を上手に活用したい方におすすめです。

デメリット

賃貸併用住宅だからこそ起きるデメリットのひとつが、入居者とのトラブルが起きやすい点です。

賃貸併用住宅はトラブルが発生しやすい傾向にあります。入居者同士のトラブルだけでなく、同じ建物で暮らしているため大家さんが迷惑をかけてしまう立場になることもあります。

次に、賃貸併用物件は売却が難しいとされています。将来売却を考えた際に、賃貸物件と自宅それぞれの購入希望者へのニーズに応えられないからです。将来売却の可能性も考える場合は、売却しやすい間取りにするなどあらかじめ対策をしておくとよいでしょう。

また、賃貸併用住宅を建てる土地は賃貸物件に適した場所でしょうか。賃貸併用住宅を始めようとしても、所有している土地がアパート経営に適した場所でなければ、経営が難しい場合があります。相続した土地の活用や自宅の新築で賃貸併用住宅を考えている方は、アパート経営が向いている土地であるかどうかを事前に調査する必要があります。

賃貸併用住宅ローンのメリット・デメリット

賃貸併用住宅のメリットとデメリットを踏まえ、次に把握しておきたいのはローンについてです。

賃貸併用住宅ローンにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

メリット

賃貸併用住宅ローンは比較的融資が受けやすいです。

通常、アパート経営を始める際の融資はアパートローンを組むことになります。アパートローンは金利の高さや返済期間の短さに加え、1割以上の自己資金を求められるなど、審査が比較的厳しい融資です。

対して賃貸併用住宅は、住宅ローンを組むことができます。一般的に住宅ローンはアパートローンに比べると金利が低いほか、借入期間が長く、融資を受けやすいローンです。さらに、自宅部分は住宅ローン控除が適用されるため節税につながります。

ただし住宅ローン利用の条件として、居住部分の床面積が50%以上が求められる金融機関があります。

デメリット

賃貸併用住宅は賃貸物件も兼ねているため、一戸建てを建てる時よりもローンの借入額が大きくなるデメリットがあります。

家賃収入からローンの返済が出来るとはいえ、空室が増えた場合は毎月のローン返済も難しくなるため注意が必要です。

賃貸併用住宅を建てるときの注意点

賃貸併用住宅を建てるときは設計に注意しましょう。

通常のアパートと異なり、入居者と同じ建物で生活をするのが賃貸併用住宅です。そのため生活時間帯のズレによるトラブルも想定されるため、住みにくい間取りでは入居者が離れるだけでなく、自宅に居ながらストレスを感じてしまうこともあるでしょう。

玄関の位置を逆にする、遮音性を高めるなど、お互いがストレスを感じない設計にすることが大事です。

後悔しない賃貸併用住宅にするためには設計が重要

大家さんと入居者の双方がストレスを感じない設計が重要であることをお伝えしました。同時に、入居者のニーズを考慮した部屋にすることも大切です。

「自宅だけにするよりも収入を得られるから」という理由だけで賃貸経営を考えてしまうと、賃貸部分の設備やデザイン性が疎かになり空室が増えてしまいます。家賃収入がないままローンの返済だけが残ってしまうため、入居者が集まりやすいアパートにすることが大切です。

まとめ

アパート経営と異なり、賃貸併用住宅だからこそ発生するメリットとデメリットについてご紹介しました。

賃貸併用住宅は節税対策にもなり、上手に経営すれば自宅と家賃収入の両方が叶う住宅です。それぞれのメリットとデメリットを理解し、後悔しない賃貸併用住宅にしましょう。